2026.03.26

「99%で安定して走る方が速いこともある」適応力が求められる新規則での予選は“まとめる”が最優先に/F1第3戦木曜会見


2026年F1第3戦日本GP FIA会見 左からランド・ノリス(マクラーレン)、オリバー・ベアマン(ハース)、リアム・ローソン(レーシングブルズ)
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 2026年F1第3戦日本GPでの定例会見。まずはシャルル・ルクレール(スクーデリア・フェラーリHP)に、こんな質問が飛んだ。

Q:シャルル、今季はここまで2戦連続表彰台ですが、新車はどの程度のポテンシャルなのでしょう?

ルクレール:現時点では、僕らは確かに悪くはない位置にいる。でもいうまでもなく表彰台だけで満足するつもりはないし、勝利を目指している。ただそれは簡単なことではない。メルセデスがすごく高いレベルにいるからだ。近いうちにいくつかアップグレードを投入する予定だけど、当然向こうもそうして来るはず。追いつくのは簡単ではないよ。

シャルル・ルクレール(フェラーリ)
2026年F1第3戦日本GP FIA会見 シャルル・ルクレール(フェラーリ)

Q:具体的にメルセデスとの差はどれくらいですか?

ルクレール:みんなが思っているほど近くはないね。確かに序盤数戦は、接近戦が多くておもしろい展開になっていた。特にレーススタート直後はね。でもひとたびクリーンエアを得られると、彼らは本来のペースを見せる。おそらく(1周あたり)コンマ4〜5秒程度の差があるんじゃないかな。これは依然として大きな差だよ。

 メルセデスとの差は数字以上に大きいというのが、ルクレールの実感のようだ。一方で新しいF1の戦い方は、「予想していたよりずっとおもしろい」というのがルクレールの印象だ。

Q:今季は『ヨーヨー的バトル(抜きつ抜かれつが目まぐるしく起きる現象)』が見られますが、その理由をどう考えますか? また、いわゆる『マリオカート的』と言われる現象については?

ルクレール:シーズン前は、正直あまり大して期待していなかった。でも開幕したら、いい意味で裏切られた。少なくともトップ争いに関しては、思っていたよりずっとおもしろいんだ。確かに人工的なオーバーテイクもある。でも限界ギリギリの本当のバトルも多いし、異なる条件のなかで同じようなバッテリー状態に収束することで、おもしろい展開になってると思う。なぜそうなるかというと、メルセデスが自分たちより強い一方で、エネルギーの最適領域を外れると一気にタイムを失うからだ。それで差が縮まり、さらに後ろのマシンのほうが回生量が多いので、ポジションの入れ替わりが起きやすくなる。そこは純粋に楽しめる点だよ。

ルイス・ハミルトン&シャルル・ルクレール(フェラーリ)
2026年F1第2戦中国GP ポジションを争うフェラーリのルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレール

 そのあたり、中団を戦うドライバーはどう感じているのだろう。第2戦中国GPでのフランコ・コラピント(BWTアルピーヌF1チーム)は、セーフティカー導入中に順位を落としたものの、最終的には10位入賞をもぎ取った。

Q:フランコ、中国でのバトルはどうでした?

コラピント:異なるパワーユニット(PU)のマシンとの戦いがおもしろかったね。エネルギーマネージメントがチームやメーカーごとに違うので、バトルがより接近するんだ。先行車への接近も、決して簡単ではないけど、去年ほど乱気流の影響はない。ディフェンスもアタックも、両方楽しめた。人工的すぎる感じもあまり感じなかったかな。なので方向性としては正しいと思う。まだ2戦だし、今後さらによくなっていくはずだよ。

フランコ・コラピント(アルピーヌ)
2026年F1第3戦日本GP FIA会見 フランコ・コラピント(アルピーヌ)

 リアム・ローソン(ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム)は中国で7位入賞を果たしたものの、エネルギーマネージメントの難しさを強調していた。

Q:今年の小型化・軽量化されたマシンは、ドライバーとして楽しめていますか?

ローソン:以前は車体のセットアップやバランス調整に多くの時間を使っていたけど、今はエネルギーマネジメントが作業の中心になっている。それをどうこなすかで、大きなラップタイム差が生じるからね。

Q:ドライビング自体、より戦略的なものが求められる?

ローソン:そう思う。たとえばエネルギーを使いすぎたりしたら、すぐに手ひどいしっぺ返しを食らってしまう。その辺りは、去年とは運転の仕方が全然違うよね。

リアム・ローソン(レーシングブルズ)
2026年F1第3戦日本GP リアム・ローソン(レーシングブルズ)

 では具体的に、ドライビングスタイルをどう変えているのだろう。これについてはローソンとオリバー・ベアマン(TGRハースF1チーム)が語ってくれた。

ローソン:去年までは、予選でどんどん攻めていくとグリップがついてきて、さらに攻められる感覚があった。今年も同じことができないわけではないけど、限界を超えやすい。ミスに直結してしまうんだ。たとえばメルボルンでは、すべてのラップで攻めすぎてミスをしてしまい、結局中古タイヤで走ったQ3でやっとまともなラップをまとめられた。その意味で今年は「攻める」よりも、「まとめる」ことが重要で、そこに慣れていく必要があるね。

ベアマン:特に予選では大きな違いがある。中国では、最終ラップで全コーナーをベストに近い形でまとめたのに、実際にはコンマ2秒遅かったんだ。コーナーで速く走りすぎたり、早くアクセルを開けすぎたりすると、逆にエネルギーマネージメントの影響でタイムを失ってしまう。すごく奇妙なことにね。さらに一部のコーナーでは、ほんの数%アクセルを戻しただけでエネルギー配分が崩れて、ラップが台無しになることもある。実際に中国では、バックストレートでコンマ2秒失った。後でデータを見たら「コーナー立ち上がりのバッテリーが5%少なかった」だけが原因だった。本来は予選で限界ギリギリ、100%で攻めていくのが正解のはずなのに、今年は99%で安定して走る方が速いこともある。ドライバーとしては本能に反する部分だね。レースは比較的シンプルだけど、予選はかなり適応が必要だよ。

 ドライバーとしての本能に反するドライビング。そこはPU側で是正されるべきなのか。あるいはドライバー自体が合わせていかないといけないのか。その辺りで、新しいF1に対するドライバーの評価は分かれそうだ。

オリバー・ベアマン(ハース)
2026年F1第3戦日本GP FIA会見 オリバー・ベアマン(ハース)


(Text : Kunio Shibata)

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