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王者フェルスタッペンの戦い:ポール獲得もマクラーレンとのペース差は歴然「さらに努力を重ねていくしかない」
F1第6戦マイアミGP予選ではマックス・フェルスタッペンがポールポジションを獲得したものの、決勝ではマクラーレン勢のペースに及ばず4位に終わった。F1スイス在住のF1ジャーナリスト、マチアス・ブルナーがマイアミGPについて語る。
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マイアミGPの週末、マックス・フェルスタッペンに関するおめでたいニュースが伝えられたのは、まだクルマがコースに出て最初のラップを刻む前のことだった。マックスとパートナーのケリーとの間に女の子が誕生し、リリーと名付けられたのだ。
レッドブル・レーシングのエース、フェルスタッペンは、フロリダへの移動をできる限り遅らせた。モナコで出産に立ち会い、わずかながらも母子と共に過ごす時間を捻出するためだ。マックスは言う。「あんなにナーバスになったのは初めてだ。サーキットに出ていくときの緊張とは比べものにならないよ」
F1のパドックでの古くからの言い伝えのひとつに、グランプリドライバーが子供を持つと1周あたり0.1秒遅くなるというものがある。マイアミGPの予選で見事にポールポジションを獲得したマックスは、ニヤリとしながらこう語った。「あの言い伝えは、もう過去のものと言ってもいいんじゃないかな。どうやら僕は遅くならなかったようだから」
■regist■グランプリの予選に先立つスプリントで、フェルスタッペンはポディウムフィニッシュを目指していた。しかし、タイヤ交換後にピットボックスのグリーンライトが点くのが早すぎて、キミ・アントネッリのメルセデスと接触してしまった。これは明らかにチームのミスだが、罰を受けるのはドライバーだ。彼には10秒のタイムペナルティが科せられ、スプリントの結果は最下位。ノーポイントに終わった。
だが、フェルスタッペンはグランプリ予選の内容には満足していた。「今回はフロアがアップデートされていて、それが役に立ったのは間違いない。それに加えて、ステップ・バイ・ステップでクルマを良くしていくことができたし、最終的にはハンドリングがとてもいい感じになったんだ。ベストラップのターン1で小さなミスをしてしまったけど、それでも何とかポールを獲れた」
「縁石に乗った時のクルマの挙動が少し改善されて、低速コーナーもこのイベントの前に予想していたよりも良かった。ただ、ウェットとドライの両方のコンディションで走ったスプリントでは、マクラーレンの速さを見せつけられた」
「確かな事実として、最速のクルマはマクラーレンだ。路面がウェットでもドライでも、それは変わらない。僕らはストレートラインでのスピードで負けている。それはセットアップの問題だけではなく、メルセデスパワーのクルマがこのマイアミの週末にフレッシュなエンジンを投入したという事実にもよるだろう。これに対して、僕らはイモラで交換する予定になっている」
実際、レースのスタート前に、マックスはこう語っていた。「先頭からスタートできるのはいいことだ。でも、マクラーレン勢を背後に抑え続けるのは、すごく難しいだろうね」
フェルスタッペンは、まずスタート直後のターン1でランド・ノリスと激しくポジションを争った。そして、その後はオスカー・ピアストリとのバトルを繰り広げ、さらに追い上げてきたノリスともう一度戦った。
マックスは言う。「どのバトルもエンジョイしたよ。ただ、見てのとおり、彼らに対して順位を守れるだけの速さがなかった。それから僕にとって不運だったのは、バーチャルセーフティーカー中にラッセルがタイヤを交換できたことだ。彼は戦わずして僕の3位をさらっていった」
ホイール・トゥ・ホイールのバトルをする相手として、フェルスタッペンは信頼できないのではないかとの批判もあった。その点について、主にイギリス人の記者たちが投げかけた質問に対し、マックスは冷静にこう答えた。「あれが問題だって言うの? 僕は許される範囲で自分のポジションを守った。F1ドライバーなら誰でもやっているようにね」
このレースを振り返って、マックスは語っている。「とにかく僕らはレースで勝ちたいんだ。でも、マイアミではペースの差があまりにも大きくて、優勝争いには加われなかった。さらに努力を重ねていくしかないね」