【特集:2026年F1パワーユニットの変革ポイント(2)】性能差別化の鍵は内燃エンジンにあり/開幕直前までもつれた圧縮比問題
2026年シーズン、F1に新たに導入されたパワーユニット(PU)は、具体的にどのような変化が施され、チームの戦いにどういう影響をおよぼすのか。F1i.comの技術分野を担当するニコラス・カルペンティエルが解説する。
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2026年のF1では、空力やタイヤと同じレベルで、エネルギー管理がパフォーマンスの中心になる。
つまり1周の中で、
・バッテリー残量
・回収量
・戦略
・相手との位置関係
によって、選べるシナリオが常に変化するのだ。それでも、ハイブリッド関連は規則で厳しく制限されているため、各メーカーが差をつけられる余地は主に内燃エンジンに残されている。
2026年以降にも1.6リッターV6ターボという基本構成は維持されるが、大きな変化がある。燃料搭載量が110kgから70kgへと大幅に減るのだ。燃料消費量は3分の1以上削減されることになり、さらに車両の最低重量も30kg軽くなる。これによりスタートやタイヤ管理にも影響が出る。
また、MGU-Hがなくなったことで、エンジンのVバンク内部には大きなスペースが生まれる。2014年にメルセデスが導入した分離型ターボ構成は認められなくなり、ターボはエンジン後方に配置される可能性が高い。

各メーカーが差をつけられる余地は主に内燃エンジンにあることについて、ホンダ・レーシング(HRC)のF1パワーユニット開発責任者である角田哲史LPLは、こう説明する。
「最も差が出る可能性が高いのは、内燃エンジンです。どれだけの出力を引き出せるか、新燃料と組み合わせていかに高性能を達成するかが極めて重要になるでしょう」
燃焼効率、熱管理、燃料との相性――こうした要素が性能差を生むということだ。レッドブル・パワートレインズのテクニカルディレクター、ベン・ホジキンソンも、内燃エンジンの重要性に言及している。
「エネルギー回収システムERS側では、どのメーカーも99%近い効率に到達するはずだ。だが内燃エンジンはまだ改善の余地が大きい」

圧縮比は、18:1だった制限が16:1に変更された。検査は常温で行われるが、実際の運転状態では熱膨張によりさらに高くなる。メルセデスが、特殊な素材や製造技術によってさらに高い実効圧縮比を実現しているといわれるが、詳細は不明だ。
レース条件下で18:1で作動する場合、そのアドバンテージは1周あたり約0.3秒との推定も出ている。ライバルたちは検査方法の変更などの対処をFIAに求め、その結果、新たな検査規則を取り入れるかどうかについて、投票が行われることになった。
2026年F1の最大の課題は、複雑になった部分を、いかに観客に理解しやすく見せるかだ。それができてこそ、新時代のF1はスポーツとして、そしてエンターテインメントとして成功するだろう。
