2022.09.09

【F速プレミアム】
ベッテル引退発表を機に熱く盛り上がるドライバーたちの移籍情報/スペイン人ライターのF1コラム


(c)XPB Images
 ヨーロッパでは、新たなドライバー移籍のうわさが立ち始める時期のことを「シリーシーズン」と呼ぶ。なぜかというと、結局は実現しない多くのばかげたうわさがしばしば飛び交うからだ。だがそれとは別に、不可能に思えるうわさ以上に予想外のこともある!そうしたことがあったとしても、今年は何かが特別だ。F1が本物のサマーブレイクに入った一方で、その前後数日は来年に向けたニュースと驚きに満ちていたのだ。そしてまだこれからもあるだろう……。

 すべてはハンガリーGP前から始まった。セバスチャン・ベッテルが、今シーズン末での引退を発表したのだ。それは半分くらいの驚きしかなかった。ベッテルがF1をもはやそれほど楽しんでいないのは明白だったし、彼の活動は、チームやチャンピオンシップ全体のスポンサーの利益と直接的に衝突するものだったからだ。そうなる可能性はあったのだ。しかしその数日後、アストンマーティンは驚きの行動に出た。2023年のベッテルの後任がフェルナンド・アロンソであることを発表したのだ!
■regist■
 これはまったく予想外というわけではなかったと言わねばならない。スペインではいくつかうわさが流れていた。2度のF1世界チャンピオンであるアロンソは、まだそれほど戦力のないアストンマーティンを来年の行き先として考えているというものだった。だが私が最も興味をそそられたのは、発表のタイミングだった。それはサマーブレイクの直前だった……そして7月31日の直後だった。それはF1では通常は自動更新が有効になるタイミングだ。

 この「自動更新」は、新たに書類に署名しなくても発動する契約条項のことだ。たとえば、私が2023年に向けフェラーリと契約を結ぶとする。この契約が、7月31日が来た時点で私がチャンピオンシップの首位に立っていることを条件としていたら、2024年に向け契約は自動更新される。こうした条項は常にチームとドライバーの間で合意される。目的が達成された場合に備えて両者を保護するために存在するのだ。そうすればドライバーは不意にチームを失うことがなく、チームもドライバーを突然失うことがなくなる。

 今回起きたことは、アルピーヌが突然ドライバーを失ったということだ。アロンソが有していたあらゆる条項も発動されなかったようだ。もしかすると条件はチャンピオンシップポイント数か、ランキング順位か、表彰台フィニッシュ回数などだったのかもしれない。つまりその時点を過ぎると、アロンソは2023年に向けてどのチームとも自由に契約を結べる状態にあった。そして彼は行動に移したのだ。2023年シーズンのアルピーヌのドライバーとして発表され、後に自身で否定していたオスカー・ピアストリにも、同様のことが起きたのかもしれない。インディカーのアレックス・パロウとチップ・ガナッシ・レーシングの間に起こったことにも似ている。

(c)XPB Images

 このふたつのストーリーには共通の要素がある。それはマクラーレンだ。パロウはマクラーレンと契約をした(だが実のところ、彼との契約を発表するチームのツイートは削除されている)そして9月の2日にはピアストリがマクラーレンに移籍することが正式に発表された。当初、我々はピアストリの契約トラブルの件を追っていたが、ベルギーGP直前に確信した。ダニエル・リカルドとマクラーレンが、2023年には契約を終了することを発表したからだ。スペインでの言い回しで例えると「川が音を立てれば、水が流れているのが分かる」ということだ。

 F1の8月はこれで十分に盛り上がったかもしれないが、もちろん我々はそれ以上の働きをしなければならない。もう少しの興奮を提供しよう。それは新たなエンジンメーカー(ついに!)という形で現れた。8年間にわたり4つのエンジン(メルセデス、フェラーリ、ホンダ、ルノー)が使用されてきたが、アウディが2026年からのF1参入を発表した。もちろんその頃にはホンダ(もしくは実際にはレッドブル・パワートレインズ)もレースをしていると私は考えているが、その話はまた後ほど。いずれにせよ、アウディがとうとうF1入りを果たすことは素晴らしいニュースだが、彼らはどのチームと組むかは明言していない。

(c)AUDI AG

 しかしながら、パドックで秘密を守るのは難しいことだ。アウディはF1に来てアルフォロメオとして活動しているザウバーと組むということは広く知られていた(このニュースはうわさされていたから、驚きではないが)。その後、アルファロメオが2023年末でザウバーとのパートナーシップを解消するという発表によって確認がとれた。そういう意味では、アウディとザウバーが組むことに疑問はない。それにしても、エンジン面ではまださらなる動きがあるし、それは考えられているほど明快なものではないだろう。

 ここしばらくの間、ポルシェとレッドブルの間の状況はかなり明確に見えている。ポルシェはチームの50パーセントを買い取り、ワークスパートナーとして参加することになるようだ。それなのにこの数日で、交渉は少々冷え込んでいる。あくまでもうわさだが、ポルシェが50パーセントの買収を行うことで、チームに対する彼らのパワーと影響力があまりに大きくなりすぎるとレッドブルが懸念しているらしい。そして最近のクリスチャン・ホーナーのインタビューによると、2026年には2チームがレッドブル・パワートレインズのエンジンを使用するとはっきり述べているのだ。実際、1基目のエンジンはすでに始動しているとホーナーは説明している(もちろん彼らは開発とさらなるプロジェクトにまだ多くの時間を必要としているが)。

 これはレッドブル・パワートレインズ(RBPT)が何らかの形でエンジンメーカーとしてポルシェと共存するということだろうか?ポルシェは、他のチームのためのカスタマーエンジンを製造するレッドブルと組むのだろうか?ポルシェは「RBPT」のプロジェクトに参加するのだろうか?実際のところ、ポルシェはどのみちF1に参入するつもりなのだろうか?

 率直に言って、私はポルシェとアウディが同時にF1に参入するのは非常に不思議なことだと常々思っていた。ご存じだろうか。この2社がル・マン24時間のLMDhクラスに参入することを発表した時も、私は同じように感じた。もちろん最終的にアウディは撤退したのだが……そして今、彼らはF1参入を発表したのだ。私の意味するところがお分かりだろうか。もちろんポルシェがF1に参入する可能性は高いと私は今も考えている。だが当然のことと考えることはできない。

 そしてシリーシーズンが終わったと思っていたら、あなたは驚くことになるだろう。今の話題のすべては来年アルピーヌに誰が入るかということだ。ガスリーか、もしくはリカルドか。もしガスリーが移籍したら、アルファタウリには誰が入る?インディカーのコルトン・ハータでさえ候補と見られているという話もある。ミック・シューマッハーが入るという話もある。なぜならシューマッハーは、フェラーリ・ドライバー・アカデミーとハースを今シーズン末で離れる可能性があるらしいのだ。シートベルトを締めておいた方がいい。我々の前にはまだまだ驚きが待ち受けているようだからだ!

(c)XPB Images

(Alex Garcia/Translation: AKARAG)

最新ニュース一覧

2022-12-31更新
2022-12-30更新
2022-12-29更新

最新PHOTO一覧






|TOP|NEWS|