2025.11.07

角田裕毅のポテンシャルを信頼「来年もレッドブル・ファミリーで十分通用すると言うつもり」/ホンダHRC渡辺社長インタビュー


HRCの渡辺康治社長と、レッドブルのローレン・メキース代表
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 ホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治社長が、2025年F1第20戦メキシコシティGPを訪問した。今年はホンダがF1での初優勝を上げてから60年という節目の年であり、アウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスでは当時のマシン『RA272』によるデモランが行われた。ステアリングを握ったのは角田裕毅。渡辺社長はその角田について、2026年もオラクル・レッドブル・レーシングに残留することを期待していると述べ、彼のポテンシャルをレッドブル側に改めて伝えるつもりであることを明かした。

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──ホンダRA272のデモ走行について、教えてください。

渡辺康治社長(以下、渡辺社長):「ホンダにとって大切な記憶であるF1参戦とF1初勝利に関しては、前々から準備をしていて、F1参戦60周年の昨年はグッドウッドで角田(裕毅)選手がRA272を走らせました。そして、今年はホンダがF1で初勝利を挙げた1965年から60年目のメモリアルイヤーなので、その初勝利を挙げたメキシコで、しかもメキシコシティGPが開催されている週末にデモ走行ができないかと、FOMおよびメキシコシティGP主催者と交渉して、実現に至りました。ホンダの活動に理解を示していただいた関係者のみなさまに感謝いたします」

──ホンダにとって、F1初優勝はどんな意味を持っているのでしょうか?

渡辺社長:「F1参戦とともに、F1初勝利というのは、ホンダのなかで特別な意味を持つ重要な日です。60年前にこのような偉業を達成した諸先輩方に感謝すべき日だと思っています。ホンダの勝利はここから始まりました。この1勝があったからこそ、いまのホンダがあると言っても過言ではない。その勝利を挙げた日の記憶を忘れずに、これからも勝ち続けていくんだという思いを強く心に刻む日だと思います」

──このデモ走行でRA272のステアリングを握るのが角田選手です。

ホンダHRC渡辺康治社長インタビュー
ホンダの三部敏宏社長、角田裕毅(レッドブル)、HRCの渡辺康治社長

渡辺社長:「このデモ走行は単純に過去の偉業を称えるというものだけでなく、角田裕毅という日本を代表するF1のトップドライバーが走らせることで、また60年前にホンダが初めて勝利を挙げたこのメキシコシティGPで走らせることで、ホンダの挑戦が未来へ続いていくということを世界に発信したいという思いがあります」

──そのRA272をドライブした角田選手のことについてお尋ねします。レッドブルに移籍してから十数戦レースをしてきましたが、渡辺社長には角田選手の走りはどのように映っていますか?

渡辺社長:「以前と変わらず、やっぱり彼にはポテンシャルがあると思っています。レッドブルでも、十分通用すると信じているので、残りのレースでいい走りを披露して、残留できることを期待しています」

──この後、レッドブルとのミーティングで角田選手についての話題もテーマに挙がるのでしょうか?

渡辺社長:「おそらく(角田の話題も)出ることになると思います」

ホンダHRC渡辺康治社長インタビュー
HRCの渡辺康治社長と、レッドブルのローレン・メキース代表

──レッドブルとレーシングブルズの2026年のドライバーラインアップ決定について、レッドブル側で温度差があるように思います。渡辺社長はどう理解していますか。

渡辺社長:「我々はパートナーで、これまで築いてきた信頼関係がありますので、それがどこまで影響するのかというところはありますが、以前から申し上げているように、ドライバーの選択はチーム側が決定することです。ただ、我々としては角田選手にはポテンシャルがあるので、2026年もレッドブル・ファミリーで十分通用するという意見を言うつもりです」

──「レッドブル・ファミリーで十分通用する」というのは、レッドブルでなくても、レーシングブルズに戻ったとしても、ホンダは受け入れるということですか?

渡辺社長:「それはチームが決め、そのうえで本人の意思がどうなのかということが大切です。チームと本人が合意したうえでレッドブル・ファミリーに残るのであれば、我々としては満足です」

──角田選手に対して、ホンダ(本田技研工業)はスポンサー契約を結んでいます。レッドブル・ファミリーとのパートナーシップが2025年限りで終了した後、2026年に角田選手がレッドブル・ファミリーに残留した場合、そのスポンサー契約は続ける予定はありますか。

渡辺社長:「ありえます。ホンダの育成システムから巣立ったドライバーですから、今後もなんらかの繋がりは維持していくつもりです。たとえばですが、ホンダのサンクスデーに来てもらったり、我々が開催するイベントに参加してもらうような関係になると思います」

──岩佐歩夢選手については?

渡辺社長:「岩佐については、リザーブドライバーとしても、シミュレーターを使用した開発ドライバーとしても、チーム代表から高く評価されているので、2026年以降もこのままチームに残り、レギュラードライバーへステップアップするチャンスを待つというのがベストな選択だと考えています」

──2026年に向けての進捗状況はいかがですか?

渡辺社長:「ハードウェアの最終バージョンがそろそろフィックスする段階が近くなってきました。そのタイミングがいつかは教えられませんが、その時期まで開発を続け、開幕戦仕様をできるだけ競争力があるものにしたいと考えています。アストンマーティンも頑張っているので、我々もギリギリまで頑張ります」

──2026年からのF1活動は第5期となるのでしょうか?

渡辺社長:「今朝、三部(敏宏社長)とも話をしたのですが、第5期があったなと言われないようにしなければなりません。約束はできませんが、F1活動を継続することは我々にとっても技術的に財産となるので、HRCとしては長く続ける努力をするつもりです」

ホンダHRC渡辺康治社長インタビュー
2025年F1第20戦メキシコシティGP グリッド上でHRCの吉野誠チーフメカニックと話をするHRCの渡辺康治社長


(Text : Masahiro Owari)

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