【】メルセデスとレッドブルの予選トリックが禁止に。MGU-K緊急停止機能でタイムを稼ぐ
4月16日
FIAは、2026年シーズン序盤にメルセデスおよびレッドブル・フォードのパワーユニット(PU)搭載車が予選で利用していた規則の抜け穴を封じるため、最新の技術ガイダンスを発行、F1に参戦するすべてのチームおよびパワーユニットマニュファクチャラーに対し通達した。両マニュファクチャラーは、通常はアタックラップ終盤で段階的に出力を低下させなければならないところ、計測ラインへ向かう区間で最大の電力デプロイメントをより長く維持することを可能にするため、PU故障防止用の例外的手段を利用していたといわれる。
■メルセデスとレッドブルが回避した出力低減規則

2026年の技術規則では、マシンが最終ストレートを走行して計測ラインへ向かう際、MGU-Kによる電力デプロイメントを毎秒50kWずつ低減させなければならない。上海のように最終コーナー直後にスタート/フィニッシュラインが位置するサーキットでは、この段階的出力低減の影響はほとんどない。しかし、メルボルンや鈴鹿のように最終コーナーから計測ラインまでの距離が長いコースでは、バッテリー出力が徐々に低下することで、ドライバーたちはコンマ1秒以上のタイムを失うともいわれる。
フェラーリは、予選においてメルセデスおよびレッドブル・フォード製パワーユニットを搭載したマシンが、計測ライン通過までバッテリー出力を失っていない一方で、アタックラップ終了後のクールダウンラップでは著しく低速で走行していることに気付いた。そのためフェラーリは、両メーカーが出力低減規則を回避する方法を見出したのではないかという疑念を抱いた。
■MGU-Kシャットダウン機能を戦略的に利用

FIAは新世代パワーユニットの複雑さを考慮し、規則において電動系統に“キルスイッチ”を設けることを認めている。パワーユニットに深刻な問題が発生した場合、ドライバーはこれを用いてMGU-Kを手動停止することができる。
メルセデスとレッドブル・フォードは、この安全機能を戦略的に利用し、MGU-Kの出力を最大350kWでフィニッシュライン直前まで維持し、通過直後にシャットダウンを作動させていた。これにより装置を1分間停止させる“リンプモード”が作動する。
これまでは、この緊急停止機能の使用条件が厳密に定義されていなかったため、チームが戦略的に利用することを違法とみなすことはできなかった。
この戦術は安全上の懸念も生んだ。鈴鹿ではウイリアムズのアレクサンダー・アルボンが、予選シミュレーション終了後、ラップの序盤に停止を余儀なくされた。また、メルセデスのアンドレア・キミ・アントネッリとレッドブルのマックス・フェルスタッペンも、同高速区間を著しく低速で走行する姿が確認され、アタックラップ中の他車に危険を及ぼす可能性が指摘された。
この戦略は予選でのみ有効だ。レース中にバッテリーが供給する350kWを1分間失うことを望む者はいないからだ。
■マイアミGPから厳格運用へ

FIAは鈴鹿で各マニュファクチャラーと個別に協議し、データを精査、すべてのデータ分析が完了した後、全チームとマニュファクチャラーに対して、FIAの方針を通達した。それは、MGU-Kを停止する機能自体は維持されるものの、正当なパワーユニットの問題がない限り、MGU-Kの手動停止を認めないというものだ。さらにFIAは、規則遵守を確保するため、データを厳密に監視するとしている。
これによりマイアミGP以降、すべてのマシンは最終コーナー出口から計測ラインまで、1秒あたり50kWずつ出力を低減するという規定に従うことが厳しく義務付けられ、グリッド全体の公平性が回復される。
(GrandPrix.com)

