TGRハースF1チームでエステバン・オコンのレースエンジニアを務めるラウラ・ミュラー

【】F1で活躍する女性エンジニアや戦略家を称え、F1オーストラリアGPのターン6を『In Her Corner』と命名へ

3月2日

 F1オーストラリアGPを主催するオーストラリア・グランプリ・コーポレーション(AGPC)は、現在F1のピットウォールで働いているこのスポーツ界で最も著名なふたりの女性、ラウラ・ミュラーとハンナ・シュミッツに敬意を表して、同グランプリの舞台であるアルバートパーク・サーキットのターン6に『In Her Corner』と名前をつけることを発表した。

 アルバートパークのターン6は来月、ただそれぞれの功績を称えるためでなく、モータースポーツのエンジニアリングとストラテジー分野における女性の認知度拡大のため幅広い取り組みへの賛辞として、名前がつけられるという。この取り組みは『In Her Corner』といい、エンジニアズ・オーストラリアとAGPCの共同事業によるものだ。選手権で働く女性たちを称えるためにサーキットの一部区間が命名されるのは、F1の歴史においてこれが初めてとなる。

■「少女たちや若者たちがSTEM分野でのキャリアを追求するきっかけになれば」

 現在TGRハースF1チームでエステバン・オコンのレースエンジニアを務めるミュラーは、昨年F1初のフルタイムの女性レースエンジニアとして歴史に名を残した。メルボルンのコースサイドに立つ彼女の名前は、何千人ものファンがドライバーたちのアタックを見守るコーナーに刻まれることになる。

 ミュラーは次のように述べた。

「『In Her Corner』の取り組みは、『if you can see it, you can be it(それが見えるなら、そうなれる)』という考え方の重要性を助長しています。ですから私たち全員が、エンジニアリング分野における女性の功績に光を当てるためにできることが増えれば増えるほど、素晴らしいことだと思います」

「F1キャリアの早い段階でこのような表彰を受けられて光栄です。この活動が、少女たちや若者たちにとって、STEM分野(科学、技術、工学、数学)でのキャリアを追求するきっかけになれば幸いです」

「モータースポーツにおけるこれまでの女性の功績を認めることは重要であり、ハンナと共にこの活動に参加できることを大変嬉しく思います」

エステバン・オコン&ラウラ・ミュラー(ハース)
2026年F1プレシーズンテスト(第2回バーレーン 1日目) エステバン・オコン&ラウラ・ミュラー(ハース)

 ミュラーがF1のエンジニアリングにおける新たな一章を象徴する存在だとすれば、シュミッツはレース当日の意思決定の最前線で、卓越したパフォーマンスを体現する存在だ。オラクル・レッドブル・レーシングのレース戦略責任者として、シュミッツは数え切れないほどの勝利とタイトル争いにおいて重要な役割を果たし、パドックで最も尊敬される戦略家となった。

「私は自分の仕事が大好きです。もし仕事を選ぶ特権があるなら、それが自分に合った仕事であることを確認してください。私は常に物事がどのように機能するかに興味があり、車が大好きでした」とシュミッツは述べた。

「学校では先生方から素晴らしいサポートと励ましを受け、エンジニアリングの世界への扉を開きました。先生方は私にとって大きなインスピレーションでした」

「チームを代表して表彰台に立つことができたのは、私にとってこの上ない栄誉です。昨シーズンのカタールでドライバーズチャンピオンシップを争ったのは素晴らしい経験でした。全員が一丸となって戦う姿を目の当たりにできたことは、私にとって特別なことでした」

2025年F1第23戦カタールGP 表彰式
2025年F1第23戦カタールGP表彰式 左から2位オスカー・ピアストリ(マクラーレン)、優勝マックス・フェルスタッペン(レッドブル)、ハンナ・シュミッツ(レッドブル シニアストラテジーエンジニア)、3位カルロス・サインツ(ウイリアムズ)

 ターン6の命名はこの物語のほんの一部だ。開幕戦オーストラリアGPに先立って、3月5日(木)には、『In Her Corner』がアルバートパーク・サーキットで国際女性デーを祝う特別イベントを開催する。2026年の国際女性デーは3月8日(日)で、オーストラリアGPの決勝レース当日にあたる。このイベントは、現在F1のプレゼンターを務め、以前はザウバーのレース戦略責任者であったルース・バスコムが主催し、ミューラーとシュミッツ、アストンマーティンのドライバーアンバサダーであるジェス・ホーキンス、F1のステファノ・ドメニカリCEOなどが参加する。

 一瞬の差で定義されることが多いスポーツにとって、この象徴性は力強いものだ。ターン6はもはや単なるブレーキングゾーンではない。F1の未来が、ハンドルを握るドライバーだけでなく、彼らを導くエンジニアやストラテジストによっても形作られていることを改めて示すものとなるだろう。



(Text : autosport web)