2025年F1第23戦カタールGPスプリント 角田裕毅(レッドブル)

【】「チームとして機能できてよかった」好スタートから安全策で僚友をサポート。一転した予選は16番手【角田裕毅F1第23戦展望】

11月30日

 2025年F1第23戦カタールGP金曜日のスプリント予選で、チームメイトのマックス・フェルスタッペンのタイムを初めて上回った角田裕毅(レッドブル)。残り2戦は持てる力を最大限発揮して、ドライバーズチャンピオン争いを繰り広げているフェルスタッペンを少しサポートしたいと語っていた角田にとって、チームメイトの前からスタートする土曜日のスプリントは、その絶好の舞台となった。

 5番手から好スタートを決めた角田は1コーナーまでに4番手のフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)をかわし、3番手のランド・ノリス(マクラーレン)に並びかけながら1コーナーへ進入していく。「もっとリスクを取れたかもしれないが、マシンを安全に持ち帰りたかった」と言う角田は、無理にノリスへのオーバーテイクを試みることなく、2コーナーを4番手で立ち上がる。なぜなら、背後にはアロンソをとらえたフェルスタッペンが5番手に浮上していたからだ。もし、ノリスに仕掛けて自分がコントロール不能になったり、事故を起こすと、直後を走るフェルスタッペンにも被害が及びかねなかった。

 スタートでノリスを攻略できなかった角田は、すぐさま頭を切り替えて、次のブレーキングポイントとなる4コーナーでインを開けてフェルスタッペンに自らのポジションを明け渡した。

「マックスもいいスタートを切ったので、僕も役割を果たすことができ、チームとして機能させることができたのはよかった」

角田裕毅(レッドブル)
2025年F1第23戦カタールGPスプリント 角田裕毅(レッドブル)

 フェルスタッペンに続いてフィニッシュした角田は、これまでのスプリントでの自己最高位である6位(今年のマイアミGPなど)を上回る5位でフィニッシュした。

 この調子を日曜日のスタートポジションを決める予選でも維持したかった角田だが、予選が始まると角田のペースが上がらない。

「予選で何が起きたのかまったく理解できない」と言う角田は、最後のアタックを終えた時点で12番手だったが、その後にアタックしていたドライバー4人に抜かれ、16番手に後退。まさかのQ1敗退となった。

 予選後、角田は納得いかない様子だった。

「スプリントからセッティングをほとんど変えていないのに、グリップをまったく得られず、ペースを失いました。特にミスをしたわけでもなく、ラップ自体はスプリント予選より整っていたと思います。いまはまだ、スプリント予選との違いを完全に説明できず、このような結果に終わったことは非常に悔しい」

角田裕毅(レッドブル)
2025年F1第23戦カタールGP予選 角田裕毅(レッドブル)

 考えられる失速の原因は「セッティングをほとんど変えていない」というコメントだ。砂埃が舞う中東のサーキットは金曜日から土曜日にかけて、路面コンディションが大きく改善する。金曜日にいいと思っていたセッティングが土曜日にそのまま適合しないケースがある。

 その証拠に金曜日のスプリント予選でソフトタイヤを履いたSQ3で1分20秒519をマークしていた角田は、土曜日の予選Q1では1分20秒761とタイムを落としている。スプリント予選でSQ3に進出した10人のドライバーのなかで、土曜日のQ1でタイムを落としているのは、アロンソ、アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)、角田の3人。このなかで最もタイムを落としていたのが角田だった。

 対照的にチームメイトのフェルスタッペンは「スプリントでマシンの挙動に満足していなかったため、マシンに調整を加えた。予選ではパフォーマンスが向上した」と語っているように、路面コンディションに合わせたセットアップ変更が功を奏して、スプリント予選から3つポジションを上げて3番手を獲得した。

 ただし、路面コンディションは土曜日から日曜日にかけて、さらに変わる。土曜日に大きなセットアップ変更をしなかった角田のマシンが日曜日のレースでどんなパフォーマンスを発揮するのか。それはレースがスタートするまでわからない。

角田裕毅(レッドブル)
2025年F1第23戦カタールGP セッション終了後、インタビューに応じる角田裕毅(レッドブル)


(Text : Masahiro Owari)