フェラーリが広範囲にわたるアップデートを投入へ。PU性能不足を補う空力開発の全貌
フェラーリは今週末のF1マイアミGPで、SF-26に一連の大型アップデートを投入する予定だ。その内容を、先行して紹介しよう。
パドックの複数の関係者によれば、SF-26はコーナリング性能においてはグリッド上でも屈指の速さを持つ。しかしパワーユニット(PU)の性能不足により、総合力ではメルセデスと完全に渡り合うには至っていないという。
そのためフェラーリはシャシー開発に注力し、空力性能のポテンシャルを最大限に引き出すことで、全体のパフォーマンスを上げようとしている。先週モンツァで行ったフィルミングデー走行において、SF-26のボディワークの進化が確認され、主要な領域で開発が進んでいることが裏付けられた。画像とともにそれを見ていこう。

(1)フロントウイングは、エンドプレート(翼端板)に新たな要素が追加された(青矢印)。この種のディフレクターは、他の多くの2026年型F1マシンですでに採用されている。
(2)フロントサスペンションには、より構造的な変更が加えられている。まずアッパーアームの車体側取り付け位置がかなり前方に移動した(黄矢印)。この変更は、設計段階から複数の取り付け位置を用意していたことで可能となった。
(3)バージボードも刷新された。内部の縦方向エレメントが高くなり、さらにその後方には新たな縦の要素が追加され、水平のフィンと接続されている(緑矢印参照)。この変更は、フロアへ向かう気流の流れを再構築することを意図したものだ。

(4)リヤウイングのサイドプレートには、2本のストレーキ(細い溝状の要素)が追加された。これらは下方で発生した上昇気流に沿って配置され、その流れを整える役割を持つ。結果として、マシン後方で発生する“アップウォッシュ(気流の上方への持ち上がり)”を強化する。
この上方への気流拡散は、ディフューザーがフロア下の空気をより多く引き抜くことを可能にし、最終的にはダウンフォースの増加につながる。また、リヤウイングのセンター支持構造は、クラッシュストラクチャーまで延長された。
(5)“マカレナ仕様”と呼ばれる独特な動きを見せるリヤウイング上段フラップにも、改良が加えられている。
(6)フェラーリの空力部門は、排気口後方に位置する特徴的なディフレクターも再設計した。従来よりも角度が緩やかになり、ウイング支持構造との干渉関係も変化している。これにより、排気ガスと周囲の気流が後方へどのように導かれるかに影響を与える可能性がある。
(7)最後にディフューザーも細かな進化を遂げている。内部ディフレクター基部のカーブが強くなり、出口での気流膨張のコントロール精度向上に寄与している。
これら一連のアップデートは、一貫した方向性に基づいている。すなわち、フロントウイングからディフューザーに至るまでの気流構造の制御精度を高めること、とりわけタイヤ後流の処理とフロアへの気流供給を最適化することだ。
見ての通り、フェラーリはコンセプトそのものを大きく変えるのではなく、重要な各領域を細かく磨き上げることで、SF-26全体の効率を高めようとしていることは明らかだ。