2026年F1第3戦日本GP ドライバーズパレード

【】【F1第3戦ベスト5ドライバー】新レギュレーションに適応しつつあるピアストリ/先輩チームメイトの焦りを誘ったアントネッリ

4月1日

 長年F1を取材しているベテランジャーナリスト、ルイス・バスコンセロス氏が、各グランプリウイークエンドのドライバーたちの戦いを詳細にチェックし、独自の評価によりベスト5のドライバーを選出する。今回は2026年第3戦日本GPの戦いを振り返った。

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■唯一メルセデス勢に対抗できたピアストリ

オスカー・ピアストリ(マクラーレン):予選3番手/決勝2位

オスカー・ピアストリ(マクラーレン)
2026年F1第3戦日本GP オスカー・ピアストリ(マクラーレン)が2位表彰台を獲得

 シーズン序盤2戦ではスタートすら切れなかったオスカー・ピアストリだが、鈴鹿では見事な復活を遂げた。FP1開始直後から絶好調で、ランド・ノリスがテクニカルトラブルで出遅れるなか、週末を通してマクラーレンのエースとして好パフォーマンスを発揮した。

 予選ではメルセデス勢に唯一真っ向から対抗できる存在として輝きを放った。レースでは、素晴らしいスタートを決めてターン1でトップに浮上。シャルル・ルクレールを難なく引き離したものの、ジョージ・ラッセルが2番手を奪い返したことで、状況は難しくなった。しかし、ラッセルが簡単に前へ出られると思っていたとしたら、それは大きな誤算だった。

 ピアストリは見事なディフェンスを見せ、バッテリーマネジメントを効果的に実施した。ラッセルがシケインで強引に仕掛けてきた際には、あえてスペースを与えて先行させ、その後、ピットストレートで抜き返して首位を守った。

 セーフティカーのタイミングに恵まれず、より速いメルセデスのアンドレア・キミ・アントネッリに対抗する術はなかったが、2位の座は脅かされることなく維持した。この結果は、ピアストリ自身とマクラーレンが、すでにこの複雑な新レギュレーションへの対応を着実に進めていることを証明している。

■連勝で歴史を塗り替えたアントネッリ

アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス):予選1番手/決勝1位

アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)
2026年F1第3戦日本GP アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)が優勝

 ファン投票でピアストリがドライバー・オブ・ザ・デーに選ばれたのは当然だが、アンドレア・キミ・アントネッリもその称号に値する走りをした。ピアストリとは異なり、アントネッリはレースで一度ミスを犯し、4戦連続でスタートを失敗したものの、その後の走りは圧巻だった。

 週末を通じて鈴鹿ではメルセデスのふたりのうちアントネッリの方が速いという印象があった。ラッセルが予選前にセットアップ変更で差をつけようとしたのも、そのプレッシャーによるものだったが、その試みは裏目に出た。

 アントネッリはラッセルに0.3秒差をつけてポールポジションを獲得。しかし、決勝スタートで6番手まで後退することに。しかし彼は焦ることはなかった。すぐにルイス・ハミルトンを抜き、ノリスを攻略するタイミングを見極め、さらにセーフティカーによって首位が転がり込んできた。ピアストリ、ラッセル、ルクレールはすでにタイヤ交換を済ませていたが、アントネッリはラッキーにもステイアウトしていたのだ。

 中国GP同様、リスタートを完璧に決め、その後はピアストリを楽に引き離した。レース中にはファステストラップを何度も更新し、1953年のアルベルト・アスカリ以来となるイタリア人ドライバー連続優勝を達成。さらに史上最年少のF1世界選手権リーダーにもなった。

■絶頂期の走りを見せるルクレール

シャルル・ルクレール(フェラーリ):予選4番手/決勝3位

3位シャルル・ルクレール(フェラーリ)、2位オスカー・ピアストリ(マクラーレン)、ウイナーのアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)
2026年F1第3戦日本GP表彰式 3位シャルル・ルクレール(フェラーリ)、2位オスカー・ピアストリ(マクラーレン)、ウイナーのアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)

 フェラーリが一刻も早くシャルル・ルクレールに勝てるマシンを与えることを願うばかりだ。ルクレールはかつてないほど高いレベルの走りを見せており、SF-26の性能を限界まで引き出しながら、接近戦におけるバッテリーの回生と放出の扱いも完全にマスターしている。

 Q3での最終ラップは途中までは圧巻で、メルセデスの間に割って入るかに見えたが、スプーンでのわずかなスライドによりバッテリー出力がカットされ、シケインまでに0.6秒を失った。

 フラストレーションを示していたルクレールだが、すぐに気持ちを切り替え、決勝ではスタート直後から攻勢に出て、4番手から一気に2番手へと浮上。序盤はラッセルに対抗する術がなく3番手に落ち着いたが、ノリスやアントネッリを抑え続けた。しかし、ノリスのアンダーカットを警戒して早めにピットインしたことで、セーフティカー導入時に大きな代償を支払うことになった。

 その後、ハミルトンとの激しいバトルを制し、ピアストリとの差を詰めたものの、攻撃を仕掛ける位置には至らなかった。むしろ、より速いラッセルのメルセデスを抑えることが重要な状況で、ルクレールはそれを見事にやってのけた。残り2周で、ターン1外側からのオーバーテイクで3番手を奪い返した場面は、ルクレールがまさに絶頂期にあることを示していた。

■チームリーダーとして安定感が増しているガスリー

ピエール・ガスリー(アルピーヌ):予選7番手/決勝7位

ピエール・ガスリー(アルピーヌ)
026年F1第3戦日本GP ピエール・ガスリー(アルピーヌ)

 ピエール・ガスリーは、そこそこの競争力を持つマシンさえ与えられれば、確実にポイントを獲得できるドライバーであると証明し続けている。アルピーヌが中団で最も安定したマシンを用意したことにより、彼は開幕3戦すべてでポイントを稼いだ。

 鈴鹿ではさらに目立った活躍を見せた。予選ではレッドブル2台を上回り、決勝では終盤30周にわたってマックス・フェルスタッペンの攻撃を完璧に抑え切ったのだ。

 アルピーヌの明確なナンバーワンドライバーとしての役割にも完全に適応しており、豊富な経験を生かしてチームを正しい方向へ導いている。鈴鹿では金曜の時点でA526は万全ではなかったが、サーキットとファクトリーでの一夜の作業が大きな成果を生み、予選ではマクラーレンやフェラーリに迫り、レッドブルやレーシングブルズを上回る結果を残した。

 決勝序盤、ミディアムタイヤではほぼ単独走行だったが、セーフティカーによって後方のフェルスタッペンが接近。ハードタイヤでは前を行くハミルトンやノリスに対抗できなかったものの、4度の世界王者を打ち破って7位をつかんだ。悪くない結果だ。

■トラブルに冷静に立ち向かい、最大限の結果を出したノリス

ランド・ノリス(マクラーレン):予選5番手/決勝5位

ランド・ノリス(マクラーレン)
2026年F1第3戦日本GP ランド・ノリス(マクラーレン)

 週末を通してチームメイトのピアストリに太刀打ちできなかったことを考えると、ノリスを高く評価するのは奇妙に思われるかもしれない。しかし、走行開始直後からトラブルに見舞われた状況を踏まえれば、5位フィニッシュは見事なダメージコントロールだった。

 FP2の半分、FP3の大半を走れなかったことで、自信が求められる鈴鹿において予選5番手が限界だったが、それでもフェラーリ2台の間に割って入った。さらに金曜にロングランができなかったため、ほぼ手探りで決勝に臨みながら、周回を重ねるごとに調子を上げ、終盤にはハミルトンを捉えてオーバーテイクするだけの余力を残していた。

 一段と成熟したノリスは、繰り返し発生したERSの問題にも苛立つことなく冷静さを保ち、プラクティスでの走行が限られた状況のなかで最善の準備を整え、厳しい週末から最大限の結果を引き出して、自身とチームに貴重な10ポイントを持ち帰った。

 最悪の週末からどれだけのものを引き出せるか、それがチャンピオンシップの行方を左右する。その点においてノリスは見事にすべての問題を克服し、チームにとって今季初のダブル入賞という確かな結果をもたらした。



(Luis Vasconcelos)