2026.03.20

「批判を全部跳ね返す勝利だ」安堵の代表に、アントネッリも涙。キャリア2年目で初優勝【F1第2戦無線レビュー(2)】


2026年F1第2戦中国GP ポール・トゥ・ウインを飾ったアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)
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 2025年F1第2戦中国GP。フェラーリのシャルル・ルクレールとルイス・ハミルトンはチームメイトバトルを繰り広げ、その後ろではジョージ・ラッセル(メルセデス)がオーバーテイクの機会を待っていた。一方フェラーリ勢の前では、ポールポジションからスタートしたアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)が初優勝に向けてトップを走り続けた。中国GP後半を無線とともに振り返る。

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 レース中盤、2、3番手のフェラーリ2台が、数周前からガチバトルを繰り広げていた。ジョージ・ラッセル(メルセデス)はすぐ後ろで2台の隙を窺うが、なかなか抜けない。

 24周目、シャルル・ルクレールがルイス・ハミルトンを抜いて2番手に上がった。

ラッセル:彼ら、どこでも速い!
マーカス・ダドリー:ルイスがまた抜き返しそうだ。

 フェラーリ同士の戦いは、加熱する一方だった。

シャルル・ルクレール&ルイス・ハミルトン(フェラーリ)
2026年F1第2戦中国GP シャルル・ルクレール&ルイス・ハミルトン(フェラーリ)

ピーター・ボニントン(→アンドレア・キミ・アントネッリ):後ろとの差は3秒8。フェラーリ2台がバトルしている。

 ルクレールとハミルトンは、毎周のように抜きつ抜かれつを繰り返した。27周目、その隙をついて、ラッセルがハミルトンを抜き、3番手に復帰した。その後ラッセルはルクレールも抜き去って、メルセデスがワン・ツーを形成した。

30周目
ボニントン(→アントネッリ):コース上での最速は君だ。ジョージは(1分)36秒2だ。

32周目
ラウラ・ミュラー(→オコン):コラピントがピットインしたわ。ブーストボタンを使って。

スチュワート・バーロウ(→フランコ・コラピント):ピット出口で競り合いになるぞ。

 回り込む右コーナーでオコンが挙動を乱し、コラピントと接触。両者スピンを喫し、オコンは最下位に後退した。

エステバン・オコン(ハース)&フランコ・コラピント(アルピーヌ)
2026年F1第2戦中国GP 接触したエステバン・オコン(ハース)&フランコ・コラピント(アルピーヌ)

コラピント:向こうからぶつかってきた。
バーロウ:ああ、その通りだ。そのまま行くんだ。

ミュラー:そのまま続けて。タイヤ内圧は問題ない。空力に少しダメージね。
オコン:僕のミスだった。

 その後オコンは、10秒ペナルティを科された。

34周目
ジャンピエロ・ランビアーゼ(→マックス・フェルスタッペン):前後のクルマとのタイムロスは、主にターン6のブレーキングと立ち上がりだ。

 6番手を走るマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、先行するオリバー・ベアマン(ハース)、後方のピエール・ガスリー(アルピーヌ)の2台にペースで劣っていた。

35周目
ハミルトン:パワーがない。なんとかしてくれ。最終コーナーでエネルギーがない。なんとかしてくれ。
カルロ・サンティ:どうしようもないよ。

 ハミルトンはそう不満を言いながらもルクレールのミスをついて、3番手に。ここから再び、2台が競り合う。その間、前を行くメルセデス2台はどんどん離れていった。

42周目
ルクレール:このバトル、楽しいよ。
ブライアン・ボッツィ:それはよかった。

 ルクレールの「楽しい」発言は、チームメイト同士で戦わせることへの皮肉なのか、あるいは純粋に楽しんでいるのか。最終的にはハミルトンが3位を確定した。

サンティ(→ハミルトン):このギャップを守るんだ。いい仕事をしているぞ。

 ハミルトンと2番手ラッセルとの差は13秒まで開いた。

 45周目、6番手のフェルスタッペンがトラブルに見舞われた。

ランビアーゼ:マックス、リタイアしよう。
フェルスタッペン:ここから歩いて帰れるかな。
ランビアーゼ:惰性でピットまで戻そう。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2026年F1第2戦中国GP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がリタイア

 レースは終盤。首位アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)はラッセルより速いペースを刻み続けた。

50周目
ラッセル:リヤがもう終わった

 対照的に、完璧にタイヤを持たせているアントネッリ。しかし53周目のターン1でブレーキングをミス。白煙を上げながら、コースオフした。

ボニントン:キミ、あと3周だから、このままちゃんとクルマを持ち帰ろう。まだ(ジョージは)7秒4後ろだ。

54周目
ボニントン(→アントネッリ):縁石に乗りすぎるな。タイヤに振動が出始めてる。

 アントネッリ以上にボニントンの方が、緊張しているような口調だ。しかしアントネッリは、見事にポール・トゥ・ウインを決めてみせた。

ボニントン:キミ、我が息子、やったぞ!
アントネッリ:キャッホー! とうとう、やったね!
ボニントン:初めての勝利。永遠に忘れることはないだろう。
アントネッリ:みんな、ありがとう。僕の夢を実現させてくれて、本当にありがとう。
トト・ウォルフ代表:まだ若すぎる。メルセデスには相応しくない。下のチームで経験を積ませるべきだ。ミスをいくつも犯すはずだ。そんな批判を、全部跳ね返す勝利だったぞ。
アントネッリ:ありがとう、トト。

 ウォルフ代表の言葉は、アントネッリを抜擢した自分の決断に対する安堵でもあったのだろう。ヒーローインタビューでのアントネッリは、号泣を抑えられなかった。



(Text : Kunio Shibata)

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