4台がスタートできなかった中国GP。新型の全車共通“スタンダードECU”が一因か/新時代のF1解説第2回
2026年F1第2戦中国GPでは、マクラーレン・マスターカード・フォーミュラ1チームが2台そろってスタートできずに終わっただけでなく、ガブリエル・ボルトレート(アウディ・レボリュートF1チーム)とアレクサンダー・アルボン(アトラシアン・ウイリアムズF1チーム)もスタート前に戦列を離れた。前日の土曜日に行われた予選のQ3ではジョージ・ラッセル(メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム)がトラブルであわやタイムアタックできないかもしれないという状況に追い込まれた。
なぜ今年のF1はこれほど止まるのか? その原因として指摘されているのが、スタンダードECU(SECU)の存在だ。
ECUとはElectronic Control Unitの略で、エンジンやギヤボックス、ドライブバイワイヤなどの車体に搭載されているさまざまなパーツを電子的に制御するためのコンピュータ装置の総称だ。
かつてはチームごとに独自のECUが搭載されていたが、国際自動車連盟(FIA)が不要な技術競争を防ぐことと、違法な制御システム(トラクションコントロールなど)を監視するという目的で、2008年からはMcLaren Applied Technologies製のスタンダードECU『TAG-320B』の使用を義務付けてきた(テクニカルレギュレーション第8条)。
そのSECUが、新レギュレーションが導入される2026年から新型の『TAG700』にアップデートされた。しかも、F1マシンにはSECU以外にも多くのECUが搭載されている。パワーユニットの高電圧をコントロールするのは、各パワーユニットマニュファクチャラーが製造したコントロールエレクトロニクス(CE)だ。それらはすべてSECUに接続されなければならないのだが、SECUがTAG700へ変更されたため、キャリブレーションが必要となっている。
プレシーズンテストから第2戦中国GPまでアウディ、メルセデス、レッドブル、ウイリアムズ、アストンマーティンら多くのチームがデータ損失、通信エラー、システムの飽和といった問題に見舞われた。これらの問題は、キャリブレーションが不十分だっただけでなく、今年のパワーユニットが、エネルギー管理の観点から見て、前世代のものよりもはるかに複雑になっていることも関係していると考えられる。MGU-Kの出力は最大350kWに達し、以前の出力の3倍以上となった。また、1周を通じてエンジン(ICE/内燃機関)と回生システムによる電気エネルギーのバランスは絶えず変化する。ECUはこれらすべてをリアルタイムで管理しなければならないため、これまで経験したことがないトラブルに見舞われているものと考えられる。


すべての問題の原因が新しいSECUかどうかは不明だが、開幕戦オーストラリアGPではニコ・ヒュルケンベルグ(アウディ・レボリュートF1チーム)が、2戦目の中国GPではマクラーレン勢を含む合計4台がDNSとなった。第3戦日本GPでは、今シーズン初めて22台が一斉にグリッド上からスタートすることを祈りたい。