2026.03.12

「僕がいないみたいに抜いて行った」抜かれたサインツがフェルスタッペンとの速度差に驚き【F1第1戦無線レビュー(1)】


2026年F1第1戦オーストラリアGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)&カルロス・サインツ(ウイリアムズ)
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 2025年F1第1戦オーストラリアGP。新しい技術規則の導入により、F1は新時代を迎えたが、その幕開けは波乱に満ちていた。オーストラリアGP前半を無線とともに振り返る。

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 2026年シーズン開幕戦は、スタート前から大波乱が起きた。地元メルボルン出身の英雄オスカー・ピアストリ(マクラーレン)が、グリッドに向かう周回でスピン、クラッシュしてしまったのだ。

トム・スタラード:オスカー、大丈夫か?
ピアストリ:ああ、大丈夫だ……。
スタラード:クルマから降りる前に、スイッチオフを忘れるな。

 クラッシュの直前には、こんなやり取りがあった。

スタラード:リチャージ終了。無線チェックに入る。
ピアストリ:無線チェック……バッテリーは、もう空になっている
スタラード:了解。
ピアストリ:ノーパワーだ。でも大丈夫。

 この直後に、ピアストリはスピンを喫した。レース後のコメントでは、「予想外の100kw近い余剰パワーが発生した」と、語っている。

 スタート後も、波乱の展開は続いた。4番手シャルル・ルクレール(フェラーリ)が一気に首位を落とし入れる。ルイス・ハミルトン(フェラーリ)やデビュー戦のアービッド・リンドブラッド(レーシングブルズ)も大きく順位を上げた。一方リアム・ローソン(レーシングブルズ)はストールしかけ、大きく出遅れてしまう。

1周目
ローソン:これはいったい……
エルネスト・デジデリオ:大丈夫。落ち着いていくんだ。

 レッドブル初戦のアイザック・ハジャー(レッドブル)は予選3番手と大健闘したものの、レースではスタート直後からエンジンの不調を訴えた。

ハジャー:ノーパワーだ。
リチャード・ウッド:チェックしている。スロットルを戻せ!
ハジャー:エンジン音がXXだ!
ウッド:スロットルを戻すんだ。
ハジャー:何かがおかしい。

 3番手に上がったハミルトンが、ハジャー、そしてリンドブラッドとスリーワイドでコーナーに飛び込んでいった。

ハミルトン:ぶつけられた。誰かわからないが、ぶつかってきた。左フロントだ。

ピエール・アムラン(→リンドブラッド):落ち着いて、最後まで行こう。

 カルロス・サインツ(ウイリアムズ)も、スタートで5台抜きに成功して16番手に上がっていた。しかしマックス・フェルスタッペン(レッドブル)に、ものすごい勢いで抜かれていった。

サインツ:わお、僕がいないみたいな抜き方をして行ったぞ。

カルロス・サインツ(ウイリアムズ)
2026年F1第1戦オーストラリアGP カルロス・サインツ(ウイリアムズ)

2周目
ピーター・ボニントン(→アンドレア・キミ・アントネッリ):バッテリーがいい感じにチャージされている。ジョージ(・ラッセル)もルクレールを攻略できている。ターン11でやっつけろ。

 そのアドバイス通りアントネッリはランド・ノリス(マクラーレン)を難なく抜き去り、6番手に上がった。

アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)
2026年F1第1戦オーストラリアGP アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)

 一方ハジャーは、相変わらず苦しい展開が続いていた。

3周目
ハジャー:このまま完走できるとはとても思えないよ。
ウッド:問題はSOCだ。解決できると思う。
ハジャー:エンジンはどうなの? 音がおかしいよ!

 SOCとはState of Chargeの略で、電気エネルギーのチャージ状態を示す。この時点ではチーム側は、エンジンの異変に気づいていなかったようだ。

 20番手スタートのフェルスタッペンは、4周目には13番手に上がっていた。渋滞状態の車列を、かき分けるように抜いていく。

4周目
ジャンピエロ・ランビアーゼ(→フェルスタッペン):かなりカオスな状態だ。クリーンなライン取りを心がけてくれ。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2026年F1第1戦オーストラリアGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)

 ラッセルは何度かルクレールの前に出るものの、そのたびに抜き返されていた。

7周目
ラッセル:ルクレールの運転が危ない。ブリーフィングで話したような危険な運転だ。

 バッテリーチャージするための減速が、後ろにいるドライバーには故意の減速に感じるのだろう。

シャルル・ルクレール(フェラーリ)とジョージ・ラッセル(メルセデス)のバトル
2026年F1第1戦オーストラリアGP シャルル・ルクレール(フェラーリ)とジョージ・ラッセル(メルセデス)のバトル

ブライアン・ボッツィ(→ルクレール):ターン3でリフト&コーストをするんだ。かなりバッテリーが楽になる。

 一方ハジャーはペースが伸びず、アントネッリにかわされて5番手に後退した。

ウッド:SOCはもう大丈夫だ。ターン9でもっと電気を使っていい。
ハジャー:いや、そうじゃない! どんどん悪くなっている。
ウッド:落ち着くんだ。

8周目
ボッツィ(→ルクレール):ターン10と12で、タイヤを持たせてくれ。

 ラッセルは相変わらず、いったんは前に出ても、しっかりチャージしたルクレールに抜き返されてしまう。

ルクレール:2番手にいるのは、すごいアドバンテージだね。
ボッツィ:素晴らしいマネージメントだ。

マーカス・ダドリー:後ろからハミルトンも迫ってきている。
ラッセル:左フロント(タイヤ)がちょっと厳しい。

11周目
ハジャー:すべてが壊れた。おしまいだ。
ウッド:了解。
ハジャー:パワーを失った。

 白煙を噴き上げて、ハジャーのマシンはコース脇にストップ。これでバーチャルセーフティカー(VSC)が導入された。

アイザック・ハジャー(レッドブル)
2026年F1第1戦オーストラリアGP決勝 アイザック・ハジャー(レッドブル)がトラブルでストップ

ハミルトン:どんなプランで行く?
カルロ・サンティ:そのままステイアウト。ステイアウトだ。

 去年までのハミルトンのレースエンジニア、リカルド・アダミに代わったサンティ。2017、2018シーズンにはキミ・ライコネンを担当したベテランエンジニアだ。

 4番手まで順位を戻したアントネッリは、ハミルトンの約3秒後ろに迫っていた。

ボニントン(→アントネッリ):ルイスに対抗してボックスだ。

 フェラーリは2台ともステイアウトさせる戦略だ。それにハミルトンが異議を唱えた。

13周目
ハミルトン:少なくとも1台は入れるべきだよ。メルセデスは2台入った。

 しかしフェラーリは2台をステイアウトさせ続けた。

ルイス・ハミルトン(フェラーリ)
2026年F1第1戦オーストラリアGP ルイス・ハミルトン(フェラーリ)

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F1第1戦オーストラリアGP無線レビュー(2)に続く



(Text : Kunio Shibata)

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