最下位脱出を目指しサスペンション一新のアルピーヌ/目下の相手は自分自身【2026年型F1マシンの気になる変更点(3)】
ついに2026年型F1マシンのカラーリング発表が始まった。今年のF1は技術規則が大きく変わるため、発表された2026年仕様のカラーリングをまとったショーカーやレンダリング画像と、プレシーズンテストで公開される実車の外観は異なるものになると予測される。
そこで今回は、BWTアルピーヌF1チーム、アトラシアン・ウイリアムズ・レーシング、キャデラックF1チームの変更点や気になる点をまとめて紹介する。
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アルピーヌのシェイクダウンは、1月26日から5日間開催された合同シェイクダウンよりも5日早い、1月21日にイギリスのシルバーストン・サーキットで実施された。アウディ(1月9日バルセロナ)、キャデラック(1月16日シルバーストン)、レーシングブルズ(1月20日イモラ)に続いて、アルピーヌが全体の4番目にシェイクダウンしたのには理由がある。
アウディ、キャデラック、レーシングブルズ同様、アルピーヌの2026年型F1マシン『A526』には、昨年までとは異なるマニュファクチャラーのパワーユニットが搭載されるからだ。今年、ワークス体制で開発していた自社のルノー製からメルセデス製のカスタマーパワーユニットに変更するアルピーヌにとっては、マシンのパフォーマンスを発揮する以前に、確認しなければならないことが多岐に渡って存在するからだ。
メルセデスのパワーユニット以外にも、アルピーヌには確認したいことがあった。それは一新されたサスペンションジオメトリーだ。A526のフロントサスペンションは昨年までのプッシュロッドから今年はプルロッドに変更された。さらにアッパーアームの後ろ側のアームは、そのプルロッドを投影するようにアップライトからモノコックに向かって傾斜させるという独特なジオメトリーを採用してきた。おそらく、このサスペンションのメカニカルな確認とともに、空力の基本的なデータも収集したかったと思われる。元フェラーリのエンジニアであるデビッド・サンチェスが手がけたA526には、昨年のコンストラクターズ選手権最下位から抜け出そうという強い気持ちが感じられる。

1月下旬のスペイン・バルセロナで行われた合同シェイクダウンに11チーム中、唯一不参加となったウイリアムズ。チーム代表のジェームス・ボウルズは「あの時点でシェイクダウンを走ることで得られるメリットはゼロだった。走ろうと思えばできたが、そうするとその後のアップデート計画が狂ってしまう」と説明している。
この言葉から考えられることは、当初準備していた新車のコンセプトを、実際の新車では変更したからではないかと考えられる。それがどれかは明言していないが、サスペンション方式の可能性がある。というのも、ウイリアムズは2月3日にリバリーを発表したが、メディア向けに用意された写真には、サスペンションが写っていなかったからだ。ウイリアムズは翌4日にイギリスのシルバーストン・サーキットでプライベートでシェイクダウンを行った。そのマシンのフロントサスペンションは昨年までとは異なるプルロッド方式が採用されていた(リヤは昨年同様プッシュロッド方式)。フロントサスのプルロッド方式は昨年の王者マクラーレンや2024年までドライバーズ選手権を連覇していたレッドブルが採用していた方式。ただし、その2チームは今年からプッシュに変更。果たして、ウイリアムズのコンセプト変更は功を奏するのか?


11番目のチームとして、今年F1に参戦するキャデラック。アメリカ最大の自動車メーカーの代表的なブランドということで、新車のカラーリングは、2月8日にカリフォルニア州サンタクララのリーバイス・スタジアムで開催された第60回スーパーボウルのテレビ広告を通じて公開された。そのカラーリングは、左側はホワイトで反対側がブラックという非対称のデュアルカラー仕様が採用されていた。デュアルカラーは1999年にF1に参戦したBAR以来。このときは、2台のマシンを別々のタバコブランドのカラーリングにしようとしたが許されず、結局マシンの右半分を『555』、左半分を『ラッキーストライク』のカラーリングにするという苦肉の策だった。
BARとは異なり、今回のデュアルカラーはキャデラックが意図的に施したアイデアだった。その特徴的なカラーリングとは対照的に、初参戦を目指すチームにとっての現在の最大の関門は、信頼性の確立となっている。合同シェイクダウンでキャデラックが走破した周回数は164周。これは2日間しか走らなかったアストンマーティンを除いて、3日間走った中で最下位のマイレージだった。新規参入チームにとって、いま戦うべき相手はライバルよりも、自分自身なのかもしれない。