「このチームは本気だ、と感じさせる」【新規参入アウディF1特集】パワーユニット責任者ビノットが語る課題と初年度
今シーズンからフルワークス体制としてF1に参戦するアウディが、アウディ・レボリュートF1として公式の場でその一歩を踏み出した。1月20日にドイツ・ベルリンで世界各国から訪れたメディアを前に、新車『R26』のカラーリングモデルを披露するとともに、チーム、そしてアウディの首脳陣も来場し、盛大な発表会を行った。その発表会の前にアウディでF1プロジェクトの責任者を務めるマッテア・ビノットがメディアの質問に答えた。
ビノットはエンジン・エンジニアとしてフェラーリでキャリアを重ね、フェラーリ時代には2014年から始まった昨年までのエンジン/モーターのパワーユニット開発責任者を務めており、2019年から2022年までフェラーリのチーム代表を務め、その後、アウディに加入している。ライバル陣営のパワーユニットのパフォーマンスにも精通しているビノットは、まずはライバルたちへの敬意を表した。
「彼らは最も多くの経験を持っていますし、組織も成熟しています。 過去に偉大だったチームやメーカーは未来においても偉大であり続ける、というのは確かなことです。 彼らは非常に強力な競争相手で、私たちにとっては非常に大きな挑戦になるでしょう。ですが一方で、私たちにも成功し、パワートレインのベンチマークになるだけの手段は揃っています。最初から私たちのパワートレインが最高になるとは期待していません。それは不可能ですし、非現実的です」
「しかし、私たちは成長の過程にあり、自分たちの仕事に集中し続ける必要があります。 我々のタスクは2030年に成功することで、それは長い道のりに見えるかもしれませんが、実際には明日か明後日のようなものです。シーズン中に問題が起きるかもしれませんし、信頼性の問題や故障にも直面するかもしれませんが、私にとって最も重要なのは、チームがどう対応するかです。目の前の問題から学び、どのように進歩を示せるか。レースごとに成長し続けることができれば、アウディというブランドの全面的なコミットメントもあるので、いつか他と同等、またはそれ以上に強くなれると確信しています」
ビノットはアウディ・レボリュートF1としての当面の目標として、『2030年にチャンピオン争いができるチーム』を公言している。この目標設定は外部に対してだけでなく、内部のスタッフに向けてでもあったようだ。
「この目標を外部に対して明確にすることは大切ですが、同時に社内の期待値をそろえるためにも重要でした。F1とは何か、成功までどれだけ時間がかかるのか、何が足りていないのかーーそれをアウディに説明することも私の役割でした。足りない部分を測り、何が必要かを示すことができれば、彼らも完全に理解し、納得してサポートしてくれます」
「もちろん、プレッシャーは必ずやってきます。最初のレースでは予選Q1で敗退する可能性もありますし、金曜日から信頼性の問題に直面するかもしれません。しかし、アウディとはその現実をすべて理解していて、毎日状況を共有しています。その上で、目の前のタスクに対して完全に把握してくれていることは非常に重要です。プレッシャーがかかったときに、私たちがどう対応できるかーーそこにチームの強さが現れるでしょうが、私は楽観的です」
その2030年の目標に向けて現状、そして今後の進捗状況をどのように確認していくのか。
「最終目標の2030年に向けて、途中にマイルストーン、つまり“山登りの途中の中継地点”を設定しなければなりません。昨年サウバーでは内部目標として『全レースでポイントを獲得する』という目標を掲げました。その目標は最終的には第9戦以降で実現できました。2023年は0点、2024年もシーズン終盤まで4点しか取れなかったチームとしては、これは簡単なことではありませんでした。そして今、我々は2026年に向けて最初のマイルストーンを議論しています」
「そのマイルストーンは選手権の順位で測るべきか、獲得ポイント数か、2025年より多くポイントを取ることを目標にすべきか??最終的に私たちは違う考え方を選びました。2026年の最重要目標は『強力で本気のコンペティターとして認識されること』。つまり、態度やふるまい、そして他チームからの“見られ方”です。順位だけで測るのではなく、『このチームは本気だ』『将来勝つチームだ』と他チームが感じること。謙虚でありながら、失敗から学び、成長するチーム。それが2026年の最大の成果指標です」

?アウディF1のスイス、ドイツ、イギリスの3カ所、3拠点での開発体制