2026年F1テスト開始直前特集:前例のない技術レギュレーション大変更のポイントをおさらい
F1における大規模な規則変更自体は珍しいものではないが、2026年の改革はその広範な範囲において際立っている。これまでのレギュレーションサイクルでは、シャシーかパワーユニットのいずれかが主な変更対象となるのが通例だった。しかし今回は、マシン全体が根本から作り替えられる。
その2026年の技術レギュレーションの主な変更点を画像とともにまとめた。
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最も劇的な変化は、パワーユニット(PU)にある。2026年からは、内燃機関と電動のパワーの比率が根本的に見直され、2025年までとは全く異なる思想に基づく構成となる。
アストンマーティンのエグゼクティブ・テクニカルディレクター、ボブ・ベルは、この決定的な転換点をこう説明する。
「2026年の技術規則で最も重要な変更は、パワーユニットだ。出力の50%を内燃エンジンが、残りの50%をバッテリーが担う。2025年までは、およそ80%が内燃機関、20%が電動だったから、かなり大きな変更だ。さらに2014年の導入以来、パワーユニットを極めて複雑かつ高コストなものにしてきたMGU-Hが廃止される」
長年、その高度な複雑性とコストの高さで批判されてきたMGU-Hの撤廃は、大きな転換点と言える。これにより、ハイブリッドシステムは、より分かりやすく、かつ視覚的・競技的にも魅力的なものへと進化する。

ただしこれは、電動要素の後退を意味するものではない。むしろ逆だ。
「2026レギュレーションは、MGU-Hを廃止することでパワーユニットを簡素化するが、代わりにMGU-Kははるかに強力になる。電動出力は120kWから350kWへと引き上げられ、ブレーキング時に回収されるエネルギー量も、1周あたり約8.5メガジュールへと倍増する」
加えて環境要件を満たす、完全持続可能燃料の導入も予定されている。F1は性能を犠牲にすることなく、時代の要請と明確に歩調を合わせていくということだ。


2026年の革命はエンジンだけに留まらない。マシンの寸法そのものが変わり、操作性とレスポンスの向上が見込まれる。
シャシーは全長が短縮され、ホイールベースは最大3.40mと、前年車より20cm削減される。全幅も2.0mから1.9mへと縮小。フロア幅も狭められ、最低重量は32kg軽い768kgに設定される。
これらの選択は、「F1マシンが大きく、重くなりすぎた」という長年の批判に応えるものだ。サイズと質量を抑えることで、特に方向転換を伴う場面において、より鋭敏でアグレッシブな挙動を取り戻すことが期待されている。

空力面では、すでに始まっている流れがさらに推し進められる。すなわち、全体的なダウンフォースを削減し、乱流を抑え、オーバーテイクの質を高める方向だ。
2026年のフロアは、2017〜2021年の極端にフラットな形状と、2022〜2025年のベンチュリトンネル型フロアの中間的な存在となる。グラウンドエフェクト用トンネルの廃止により、ダウンフォースは15〜30%低下すると見積もられている。
一方で、空力抵抗は大幅に削減され、FIAの試算では最大40%ものドラッグ低減が見込まれている。これは単なる副産物ではない。新たな空力コンセプトの中核を成す、極めて重要な要素である。

これまでF1の象徴的存在だったDRSは廃止される。その代わりに導入されるのが、前後ウイングを可動させるアクティブ・エアロダイナミクスだ。これにより、走行状況に応じてマシンの空力特性が大きく変化する。
ボブ・ベルは、この概念的転換について次のように語る。
「2026年型マシンの挙動は、これまでとは異なるものになる。最大の違いは、“コーナーモード”と“ストレートモード”という考え方だ」
ストレートモードは、これまでのDRSを大幅に進化させたものになる。
「ストレートモードは、これまでのDRSに比べれば“スーパーDRS”とでも言うべき存在だ。すべてのストレートで作動し、影響もはるかに大きい。ストレートでは、フロントとリヤの両ウイングが調整され、空気抵抗を徹底的に減らすことができる」
一方、コーナー進入時には、マシンは完全にダウンフォース重視の設定へと切り替わる。
「ストレートでない場面では、常にコーナーモードとなり、ダウンフォースを生み出すことが唯一の目的となる」
この二面性は、空力開発の考え方そのものを変える。
「マシン開発において、概念的に全く新しいアプローチを取らざるを得ないということだ。ほぼ2つの異なる作動モードを持つものとして考え、それぞれが空力開発にどう影響するかを個別に理解する必要がある。DRSと完全に別物ではないものの、はるかに極端で、開発手法そのものに大きな影響を与えるだろうね」
タイヤもまた、軽量化とドラッグ低減という全体方針に沿って進化する。18インチホイールは継続使用されるが、フロントタイヤは2.5cm、リヤタイヤは3cm幅が狭くなる。これもまた、パッケージ全体の効率向上に寄与することになる。
個々の変更だけを見れば、控えめに映るかもしれない。しかし、それらを組み合わせることで、2026年レギュレーションは全く新しい哲学を作り出している。これは単なる調整ではない。F1マシンが「どのように設計され、開発され、レースで使われるのか」を根本から再定義する試みと言えるだろう。