FIA、F1新システムの名称を見直しへ。ファンが理解しやすいシンプルな用語を採用、『Xモード』『MOM』は廃止か
FIAは、今後5年間にわたってF1を統治する競技規則および技術規則の一部を書き換える準備を進めている。ただし、今回の変更が2026年型マシンの設計や運用に影響を及ぼすことはない。変更の対象となるのは、2026年からチームやドライバーにとって重要なツールとなる新システムの名称だ。
FIAとF1は、これらの新システムに用いられてきた名称が、ファンにとって分かりにくいものだったと認識した。実際、規則が公表された直後には、経験豊富なエンジニアや専門家でさえ、使用されている用語のいくつかに戸惑いを覚え、FIAに対して別の呼称を考案するよう求める声が上がっていた。

規則がまだ草案段階にあった当初、アクティブエアロシステムは『Xモード』と『Zモード』と名付けられる予定だった。しかし、この名称では、通常のファンがこれについて把握することは不可能だ。そのため、最終的に規則が公表された際には、『ストレートライン・モード』(ストレート走行時にドラッグを軽減)と『コーナリング・モード』(コーナリング時にダウンフォースを増加)という呼称に変更された。だが、この名称もさらに変更されることが、FIAのシングルシーターディレクターであるニコラス・トンバジスによって、最近明らかにされた。
トンバジスは、「用語の一部を見直しているのは、何が起きているのかをファンにとって分かりやすくするためだ」と説明し、さらに「チームが無線でドライバーに話す際、テレビ解説者が使う際、そして規則の中でも、統一された用語を用いたい。現在、そのためにシンプルな用語を作る作業を進めている」と付け加えた。
トンバジスは、使用される正確な名称はまだ確定していないことも認め、「他の関係者とも協力しながら検討している」と述べている。すべての協議が終わり次第、新しい用語を用いた形で規則は改訂される見通しだ。
FIAと各チームは、規則作成をエンジニアに委ねすぎてきた面があり、その結果、ファンとの距離感が生じてしまうケースもある。その一例が『マニュアル・オーバーライド・モード』で、『MOM』と略される予定だった。これは、ストレートでの追い抜きを助ける手段としてDRSに代わるものだが、名称があまりにも分かりにくかった。FIA関係者によれば、このシステムは『オーバーテイク・モード』に変更される見込みであり、初心者にとっても理解しやすい呼称となる。

2026年F1レギュレーションの最終版は、年内、もしくは遅くとも1月初旬までに公表される予定であり、ライトなファン層も含め、すべてのファンにとって分かりやすいシンプルな用語が採用されたものになる予定だ。
