アントネッリの成熟ぶりに感銘を受けるメルセデスF1代表「私が19歳の頃は少し愚かだった」
メルセデスF1のボスであるトト・ウォルフは、彼のチームの“ルーキー”アンドレア・キミ・アントネッリがまだ19歳であるにもかかわらず、トップチームで初F1シーズンを過ごすという大きなプレッシャーをうまく乗り越えたやり方に「とても感銘を受けた」と明かした。
ウォルフは、自身が同じ年齢だったときには「彼が直面しているようなプレッシャーには対処できなかっただろう」とつけ加え、その年齢の頃の「自分は少々愚か者だった」と冗談交じりに説明した。
元エースのルイス・ハミルトンが2024年末にメルセデスを離れ、その年の終わりにフェラーリに移籍することを告げてから1日も経たないうちに、ウォルフがアントネッリをF1に昇格させ、自身のチームに直接移す決断を下したことは、今では広く知られている。
同氏はは自身の決断について、内部からの多くの疑問に直面したと述べた。とくにアントネッリの唯一のFIA F2シーズンは決して印象強いものではなく、彼は当時のチームメイトだったオリバー・ベアマン(現ハース)と同様に苦戦していた。ともにレースをしていたプレマ・パワーが新世代のマシンに手を焼いていたためだ。
マイアミGPのスプリントレースでアントネッリがポールポジションを獲得したため、2025年の早い段階の結果がウォルフの決断を正当化するかのように思われた。しかし、アントネッリはヨーロッパ連戦を通して成績不振に苦しんだため、ふたたび懐疑論者が現れることとなった。それでもウォルフは、若いドライバーを守り続けた。

イタリアGP後、ウォルフはアントネッリに対し、エンジニアリングチームとともに相当に“厳しい愛情”を公然と示してみせた。その激励の効果はすぐに目に見えて現れ、アントネッリはブラジルとラスベガスで表彰台に上がり、好調のうちにシーズンを終えることとなった。
イギリスのポッドキャスト番組に出演したウォルフは、アントネッリの今シーズンを振り返るように求められると、次のように語った。
「キミ(・アントネッリ)と話をする時、我々は物事がうまくいっている時もそうでない時も、非常に正直だ。そして、大人と話しているのではないことに気がつく。キミは大人というより少年だ。そして、彼はまだ19歳だということを忘れてはいけない」
「そう、彼はプロのドライバーであり、生涯にわたってカートやレースに携わってきた。しかし、成熟度という点では、ほとんど困難なほどの急速な成長を我々は期待している。彼は今年F1の世界に放り込まれたが、最悪のレースをいくつか見てみると、彼は単にあらゆる関心やメディアのプレッシャーなどの経験に圧倒されているだけだと思う」
「アントネッリには非常にスピードがあり、経験豊富なチームメイトがいる。彼は(困難な成長を求められるなかでも)自身の力を発揮している。そしてこのことは、彼が将来に向け大きな可能性を秘めていることを示していると思う」と繰り返した。
ウォルフはさらにこう続けた。「私が19歳の頃は少し愚かだったし、彼が直面しているようなプレッシャーには耐えられなかっただろう」
「そのため、彼と話す時に厳しい口調になってしまうと、思わず立ち止まって『ちょっと待てよ、彼はまだ子供なんだ』と言わざるを得なくなる。我々にとっても、これは興味深い学びなんだ」と締めくくった。
