インディカーからF1への道が広がる。スーパーライセンス制度が見直され、インディへのポイント配分が増加
2025年FIA世界モータースポーツ評議会の最終会合が、12月10日、ウズベキスタンのタシケントで行われた。この会合において、F1の2026年新レギュレーションが承認され、6つのセクションに分割されたレギュレーションの新構造が確定。競技・技術規則面でいくつかの変更が承認されたことに加え、スーパーライセンスポイントの点数配分がインディカーに関して変更されることが発表された。

会合の後、FIAは、「新たに承認された規則により、2026年F1規則の新構造がついに完成した。規則は6つのセクションに分割される」と発表した。
そのセクションは以下のとおりだ。
・セクションA:一般規制条項
・セクションB:競技規則
・セクションC:技術規則
・セクションD:財務規則(F1チーム向け)
・セクションE:財務規則(パワーユニットマニュファクチャラー向け)
・セクションF:運営規則
「世界評議会は、F1規則の新しい『セクションA』の創設を承認した」とFIAは述べている。
「この『一般』セクションは、他のすべてのセクション間の一貫性を生み出し、重複や矛盾を回避するためのものである。これは、財務規則で以前に導入された、より厳格な法的枠組みを採用している」

次に、競技規則に関する変更点が発表された。2026年は大きな規則変更が行われるため、プレシーズンテストが3回実施されるが、2027年以降は再び1回に戻る。また、スプリントフォーマットの週末、一度しかないプラクティスで赤旗が出た場合、セッション延長が認められるようになる。FIAが発表した規則変更点は以下のとおり。
・スプリント予選の一定期間がウエットと宣言されても、スプリント予選のドライタイヤ制限が解除されなくなる。
・2026年のオペレーション要員上限が一時的に60名に引き上げられ、チームが新世代マシンを効果的に運用できるようにする。
・レース中断および再開手順が簡素化された。
・2027年以降、プレシーズンテストが1回に戻ることが確認された。
・2026年に車両の世代交代が行われることに伴い、競技外タイヤテストの車両仕様が修正された。
・スプリントイベントでのFP1について、赤旗後に延長できる措置が設けられ、競技者が適切なプラクティス走行時間を確保できるようになった。
・ドライバー調整可能ボディワーク(SLM/CM)の使用に関する更新があった。これらの修正は技術規則との整合性を確保し、複数のシナリオでのSLM使用の詳細を最終決定するために行われた。
技術規則については、以下の小さな修正が発表された。
・たわみテスト手順に関連するものを含め、明確化のための第C3条への軽微な変更。
・エネルギー管理規定を改良するためのパワーユニット規則の変更。

さらに、F1に参戦するためにドライバーが取得する必要があるスーパーライセンスに関し、インディカー・シリーズで付与されるライセンスポイントの見直しが行われたことが発表された。
FIAは、いくつかの条件に従って、ドライバーに対してスーパーライセンスを発行する。そのなかのひとつが、他のカテゴリーでの選手権順位に応じて与えられるスーパーライセンスポイントだ。スーパーライセンスを取得するためには、過去3年の間にライセンスポイントを40点以上獲得しなければならない。FIAは、スーパーライセンスポイントの対象となるカテゴリーと、付与するポイント数を定めている。
インディカーは対象カテゴリーのひとつで、2025年の時点ではランキング1位から10位に、40点、30点、20点、10点、8点、6点、4点、3点、2点、1点が与えられていた。しかし、今回FIAは、「インディカー・シリーズの重要性の高まりを反映し、3位から9位に配分されるポイント数を増やす」と発表、3位から9位のポイントが、それぞれ25点、20点、15点、10点、8点、6点、3点に増やされることが決定した。
FIA F2などに比べ、インディカーで取得できるスーパーライセンスポイントが大幅に少なく、インディカードライバーに不利であることが、これまで批判されてきた。
2024年にインディカーでランキング2位を獲得したコルトン・ハータは、このスーパーライセンスシステムにF1参戦の夢を妨げられてきた。ハータは2026年にはキャデラックF1チームのテストドライバーに就任しつつ、FIA F2に参戦し、必要なスーパーライセンスポイントを稼ぐことを目指す。