2025.12.10

2026年F1タイヤ&若手テストに25人参加、レギュラー欠席は5人。来季導入の可動式フロントウイング実験版が登場


2025年F1アブダビテスト アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)が乗るミュールカーに可動式フロントウイング実験版が搭載
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 F1アブダビGP後の12月9日、ヤス・マリーナ・サーキットで全10チームが参加した合同テストが行われた。2026年用タイヤのテストと若手ドライバーによるテストが同時に行われ、各チームは2種類のマシンを走らせ、合計25人のドライバーが参加した。

 2026年用タイヤのテストには、来季型マシンにおいて低減されるダウンフォースとドラッグレベルを想定して調整され、わずかに細くなるタイヤに対応するために改造されたミュールカーが使用され、基本的にレギュラードライバーが担当。グランプリ出場経験が2レース以下のドライバーには、2025年型マシンで走行する機会が提供された。

■ハジャーとリンドブラッドが新チームで走行。2026年レギュラードライバーは15人参加

 2026年には大規模なレギュレーション変更が行われるため、チームとピレリにとって、今回のテストは重要なデータを収集する貴重な機会となった。ピレリは各チームの協力を得て、年間を通してタイヤ開発テストを行ってきたが、今回は全チームが同時に走行。これまでチームごとに行われてきたタイヤテストでは、ピレリが走行プランを決めていたのに対し、今回のテストでは各チームが自由に望む作業を行うことができた。なお、2026年用のコンパウンドは、12月15日に正式に確定される。

 また、レーシングブルズからレッドブルに移籍するアイザック・ハジャーとレーシングブルズからF1デビューを果たすアービッド・リンドブラッドが新チームで参加、新しい環境になじむための重要な機会を得た。

 大半のチームが、2026年レギュラードライバーふたりを参加させたが、アストンマーティンのみが、レギュラードライバーのフェルナンド・アロンソとランス・ストロールのどちらも走らず、リザーブドライバーのストフェル・バンドーンがミュールカーでの走行を受け持った。

 レッドブルはマックス・フェルスタッペンと2026年テスト兼リザーブドライバーに就任する角田裕毅はともに走らず、来季レギュラーシートに就くハジャーがミュールカーで走行、現行マシンでは岩佐歩夢が走った。

アイザック・ハジャー(レッドブル)
2025年F1アブダビテスト アイザック・ハジャー(レッドブル)
岩佐歩夢(レッドブル)
2025年F1アブダビテスト 岩佐歩夢(レッドブル)

 メルセデスは、ジョージ・ラッセルが参加せず、アンドレア・キミ・アントネッリひとりに2026年タイヤテストを任せた。アルピーヌは、2026年用テストはピエール・ガスリーのみが担当し、フランコ・コラピントは欠席した。

 レーシングブルズは、2026年新ペアのリアム・ローソンとリンドブラッドが参加。来季デビューするリンドブラッドは若手枠で走行している。

アービッド・リンドブラッド(レーシングブルズ)
2025年F1アブダビテスト アービッド・リンドブラッド(レーシングブルズ)

■メルセデスが可動式フロントウイングシステムの実験版を採用

 当日は、ピレリが2026年型タイヤのプレゼンテーションを行った後、現地9時から18時までの9時間にわたり走行が行われた。

 新タイヤテスト用ミュールカーは、2025年のDRSシステムを装備したマシンがほとんどだったが、来季使用される可動式ウイングシステム“ストレートラインモード(SLM)”の実験版も登場した。

 2026年に導入される新型マシンからDRS(ドラッグ・リダクション・システム)が廃止され、代わってフロントとリヤの両ウイングに、ストレートでのドラッグ低減を目的としたアクティブエアロダイナミクスが搭載される。

 メルセデスは今回、アントネッリのミュールカーに、ストレートでフロントウイングをフラットにするこのシステムの実験版を導入した。フロントウイング上段エレメントとノーズ内部の装置をチューブで接続したデザインだったが、このチューブが露出したシステムはテスト版にすぎず、本格採用の際には全く異なるデザインになる。また、フェラーリも今回のテストにプロトタイプを持ち込んだものと考えられている。

アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)
2025年F1アブダビテスト アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)が乗るミュールカーに可動式フロントウイング実験版が搭載

 9日のテストで、DRS装備のミュールカーは、2026年により近いデータを収集するため、ダウンフォースが低減され、300km/hの速度制限が設けられた。新アクティブエアロダイナミクス“ストレートラインモード(SLM)”を搭載したマシンは、速度制限なしでの走行を許可されたが、FIAがコース上に設定したSLM作動ゾーンを守る必要があった。

アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)
2025年F1アブダビテスト アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)が乗るミュールカーに可動式フロントウイング実験版が搭載

■最速は2025年仕様アストンマーティンのクロフォード。ミュールカー勢トップはアントネッリ

 2026年タイヤでのミュールカーテストでは、各チームに、最もハード寄りのC2タイヤ(ホワイト)を1セット、C3(ホワイト)、C4(イエロー)、C5(レッド)を各3セット、そしてインターミディエイト1セットが割り当てられた。規定の走行プランはなく、各チームは自由にタイヤを使用できた。

 ミュールカーグループの最速タイムは、メルセデスのアントネッリが記録した1分25秒170だった。2番手はマクラーレンのオスカー・ピアストリで1分26秒099、3番手はフェラーリのルイス・ハミルトンで1分26秒138であり、すべてC5タイヤによるものだった。

アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)
2025年F1アブダビテスト アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)

 若手ドライバーが乗る2025年マシンに装着される2025コンパウンドに関しては、C3(ホワイト)とC5(レッド)が各2セット、C4(イエロー)が4セット、インターミディエイトとフルウエットが各1セットずつ割り当てられた。この日の最速タイムは、アストンマーティンのジャック・クロフォードがC5タイヤで記録した1分23秒766だった。

ジャック・クロフォード(アストンマーティン)
2025年F1アブダビテスト ジャック・クロフォード(アストンマーティン)

 日本人ドライバーとしては、岩佐がレッドブルの2025年型マシンで121周を走行し、1分24秒925(C5タイヤ)で5番手。平川亮は、2025年型ハースで121周のなかで1分25秒463(C5タイヤ)の8番手タイムを記録した。

岩佐歩夢(レッドブル)
2025年F1アブダビテスト 岩佐歩夢(レッドブル)

 9時間の走行時間のなかで、全マシンが合計2,648周を走り、走行距離は13,984kmに達した。メルセデスのアントネッリが157周で最多周回を記録。一方、ハースのエステバン・オコンはエンジントラブルで走行が短縮され、4周にとどまった。

 第1回2026年F1プレシーズンテストは、スペイン・バルセロナにおいて1月26日〜30日に、非公開で開催される。その後、開催地をバーレーンに移し、2月11日〜13日と2月18日〜20日にテストが実施され、3月6日〜8日にオーストラリアでシーズンが開幕する。



(autosport web)

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