シート喪失に驚くも落ち着いた週明け「まだ十分に認識していなかったのかも」首脳陣は新人を優先【角田裕毅F1第24戦展望】
「(F1第23戦カタールGPの)レースの後にヘルムート(・マルコ/モータースポーツアドバイザー)から、個人的に伝えられました。『来年はレースに出られない』と。だから、これでもうすべて終わったと思いました」
レッドブルが2026年のドライバーラインアップを発表した12月2日以降、初めて公の場に登場した第24戦アブダビGP前日のレッドブルのホスピタリティハウスで行われた記者会見で、角田裕毅(レッドブル)は、シート喪失の事実を告げられた経緯をそう語った。

そのカタールGPを制したのはチームメイトのマックス・フェルスタッペン。レース後、チームは恒例の記念撮影会を行ったが、そこに角田の姿は見当たらなかった。角田だけでなく、マルコの姿も確認できないことを考えると、恐らくマルコが角田に「来年はレースに出られない」ことを告げられたのは、このタイミングだったと想像できる。
角田にレギュラードライバー離脱を告げたマルコは、アブダビGP初日のセッション後に、そのときの様子と決定の理由を次のように語った。
「我々の決定が彼にとって辛かったのは容易に想像できる。しかし、彼はまだ我々のファミリーの一員であり、4つのシートのリザーブだ。レーシングブルズは我々のジュニアチームなので、そこに6年目のドライバーよりもルーキーにチャンスを与えることは当然の選択だった」
マルコに非情な宣告をされた角田は「驚きつつも、正直、腹が立った」と言うが、その後は落ち着いていたという。
「翌日起きたら、意外にも大丈夫でした。朝食はいつもどおり摂りましたし、同じメニューでした。おそらく、これから始まるアブダビGPが今年最後のレースになること、あるいは来年走れないかもしれないことを、まだ十分に認識できていなかったのかもしれません。アブダビGPが終わったときに、もしかするともう少し実感するのかもしれませんが、これが現実。それが、いま語ることができる僕の心境です」
アブダビGP初日、フリー走行1回目は2026年にレーシングブルズからF1にデビューすることが決定したアービッド・リンドブラッドが若手ドライバー枠で参加し、角田のマシンを駆った。
フリー走行2回から登場した角田だったが、グリップ不足に苦しみ、まさかの17番手に終わった。

「正直、ここまで厳しいとは予想していなかった。マシンはまだ大きく遅れを取っており、何が起きているのか正確にはわかりません」
だが、悲観するのはまだ早い。今回のフリー走行1回目には9名の若手が参加。角田以外にも、このフリー走行2回目からマシンを走らせた多くのドライバーのタイムが伸び悩んだ。
「今日のフリー走行は今シーズン最悪のセッションのひとつでした」
そう角田は語ったが、この日のフリー走行よりもひどかったセッションは過去5年間にもあった。これまで培った経験を活かして、2日目以降の挽回を期待したい。