アウトドローモ・ホセ・カルロス・パーチェ(インテルラゴス・サーキット)

【】F1サンパウロGPのタイヤは保守的なハード寄りの選択に。昨年の雨の影響により新しい路面の十分なデータを得られず

11月6日

 ピレリは、第19戦アメリカGPと第20戦メキシコシティGPでは、ふたつのハード寄りのコンパウンドの間をひとつ飛ばすという大胆な戦略を試みたが、今週末の第21戦サンパウロGPに向けては極めて保守的な戦略を選択した。

 昨年、ピレリはC3、C4、C5というソフト寄りの3種類のタイヤをインテルラゴスに持ち込んた。コースの再舗装が行われ、新しい路面が非常に滑らかであることが判明したからだ。しかしピレリは、2025年のサンパウロGPのタイヤ選択を、2023年までブラジルで使用されていたものに戻すことを決定した。ハードがC2、ミディアムがC3、ソフトがC4としたため、昨年使用された3つのコンパウンドよりも1段階ハード寄りとなった。

2025年F1第21戦サンパウロGP タイヤ情報
2025年F1第21戦サンパウロGP タイヤ情報

 昨年のレースではスプリントとメインレースの両方でほぼインターミディエイトとフルウエットタイヤのみが使用されたため、ピレリは新しい路面の改善に関するデータを収集できなかったことを受けて、保守的な方針を取ることを決めた。数カ月前に確実な一部のデータを収集しても、ピレリは安全策を取ることを決定した。インテルラゴス・サーキットことアウトドローモ・ホセ・カルロス・パーチェの中間セクターでは、特に左フロントタイヤにかかる負担が大きすぎる可能性があり、C5コンパウンドでは予選ラップさえ乗り越えられない可能性が感じられたのだ。

 今年のレース当日は依然として雨天となることが予想されているが、その可能性はここのところ低くなっている。雨天時に行われるリスクが高いのはスプリントレースだ。しかしピレリは、レースがドライになった場合、日曜日に異なる戦略が実行される可能性がまだあることを期待している。サンパウロGPのプレビューのなかで、ピレリは次のように述べた。

「アスファルトの老朽化による避けられない変化を考慮し、より硬いコンパウンドを使用する決定を下したことで、タイヤの性能寿命が延びる可能性がある。これらのタイヤは2024年のものよりも劣化耐性がすでに高まっている。そうすれば、昨年はスプリント予選でのみ使用されていたソフトタイヤが使えるようになるかもしれない」

2024年F1第21戦サンパウロGP
2024年F1第21戦サンパウロGP エステバン・オコン(アルピーヌ)へオーバーテイクを仕掛けるマックス・フェルスタッペン(レッドブル)

 ピレリは、一部のドライバーたちが、新しいソフトタイヤを1セットとあまり使い込まれていないユーズドのソフトタイヤを1セットを持ち、グランプリをソフトタイヤでスタートしてフィニッシュする一方で、レース中盤の長いスティントではミディアムまたはハードタイヤを使用する2ストップ戦略を期待している。このような戦略は、ミディアムタイヤでスタートしてハードタイヤでレースを終える1ストップ戦略の柔軟性を生むだろうし、レース中に雨が要因となった場合、ドライバーは意のままに操ることができるだろう。

 2ストップを選択するもうひとつの利点は、インテルラゴスではメキシコよりもオーバーテイクがはるかに多いことにある。たとえば、よりフレッシュなタイヤを履いたドライバーには、インフィールドから抜ける際にトラクションの点で明らかに優位性がある。また、DRSの恩恵があれば、ターン1への長い上り坂か、数メートル後のバックストレートの終わりからターン4に入るところでライバルを追い抜くことができるだろう。



(Text : GrandPrix.com / Translation:AKARAG)