クラッシュゲート裁判:エクレストンの弁護士がマッサの主張を批判「無関係のハミルトンからタイトルを奪おうとしている」
フェリペ・マッサが2008年F1シンガポールGPに関してFIAおよび当時の商業権所有者バーニー・エクレストンを相手取って起こしている訴訟は、現在、第二段階に移行している。当事者たちが書面による証拠を提出し、それぞれの弁護士が裁判官の前で主張を述べ、その後、マッサの申し立てに審理段階に進むだけの十分な根拠があるかどうかを判事が判断する。審理へ進んだ場合、今月前半に、証人がロンドンに呼ばれて証言し、相手側の代理人による反対尋問を受けることになる。
マッサは、2008年F1シンガポールGP決勝でルノーが不正行為をしたため、リザルトを無効にすべきだったと主張し、そうしなかったFIAおよびエクレストンに対して損害賠償を求めている。
2008年F1シンガポールGPのレース中に、ルノーのネルソン・ピケJr.がクラッシュし、それがチームメイトであるフェルナンド・アロンソに勝利をもたらした後、ルノーがピケJr.に対して意図的にクラッシュするよう指示していたことが明らかになった。
マッサは2008年にマクラーレンのルイス・ハミルトンとタイトルを争っていたが、1点差で敗れた。シンガポールGPではセーフティカー出動によるピットストップでフェラーリにミスが起こり、マッサはノーポイントに終わっており、彼は、不正が行われた同グランプリのリザルトが無効になっていれば、自分がチャンピオンになっていたと主張している。

書面提出と弁護士の陳述の最終日に、エクレストンの代理人であるデイビッド・クエストが法廷で弁論を行った。彼は、エクレストンは、マッサの申し立てには根拠がなく、したがって却下されるべきだと考えていることを明確にした。
クエスト弁護士は次のように主張した。
「相手側は、この法廷をスポーツ討論クラブのように扱おうとしているようだ。17年近く前のスポーツイベントの判定の調査を求め、本訴訟の当事者ではないハミルトン氏から2008年のタイトルを奪おうとしている。しかしながら、ハミルトン氏は事故の影響を被った一方で、2008年のシンガポールGPでマッサ氏のような運転ミスを犯してはいない」
「この事件のスポーツ上の影響については、すでにFIA世界モータースポーツ評議会で議論されている。しかし、慎重な検討の後、連盟がマッサ氏をその年のチャンピオンとして認める用意がなかったのであれば、今になって法廷がそうすることを期待できるだろうか」
「マッサ氏が遠い過去の記憶を蘇らせたいというだけの理由で、法廷は見込みのない訴訟を認めるべきではない」

現在、ボールは裁判官の側にある。民事裁判所がスポーツ連盟に関わるいかなる問題にも介入することを伝統的に嫌う傾向を考えると、マッサが訴訟をこれ以上進展させる可能性は低いように思われる。しかし、時には流れに逆らうことを望む裁判官も存在する。マッサとその代理人たちは、今回そのような展開が起こることを期待している。