リヤウイングを変えて調整を続けるも「思った以上にグリップを得られず」ペース不足に悩み11番手【角田裕毅F1第20戦展望】
「今週末はレッドブルとしてペースに苦しんでいる部分がありました」
これが2025年F1第20戦メキシコシティGP予選直後の角田裕毅(レッドブル)の第一声だった。
新しいフロントウイングを手にしたこのメキシコシティGPは、角田にとって自らのパフォーマンスを発揮する絶好の機会となるはずだった。しかし、予選はQ1から苦戦した。
「思っていた以上にグリップを得られませんでした。ここは高地なので空気が薄く、元々ダウンフォースが少ないのですが、想定していた以上に苦労しました」
メキシコシティGPでいかにレッドブルがグリップ不足に悩まされていたのかは、チームメイトのマックス・フェルスタッペンが週末に使用したリヤウイングを見ればわかる。金曜日のフリー走行1回目は2台ともハイダウンフォース仕様で走行。アウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスの路面は金曜日はダスティなので、最初のフリー走行ではグリップを得るためにダウンフォースをしっかりとつけて走るためだ。

その後、レッドブルは2台とも路面が徐々に改善していくフリー走行2回目に向けて、少しダウンフォースを削ったミディアム・ハイ仕様にリヤウイングを変更。フェルスタッペンはトップタイムをマークしたものの、ロングランでグリップ不足に悩まされた。
そこでチームは土曜日のフリー走行3回目で、フェルスタッペンのみリヤウイングをハイダウンフォース仕様に戻した。フリー走行1回目でフェルスタッペンのマシンを走らせたのは若手ドライバー枠で出場したアービット・リンドブラッドだったため、フェルスタッペンはまだメキシコシティGPでハイダウンフォース仕様のリヤウイングを装着してマシンを走らせていなかった。

しかし、それでも期待していたグリップ力を得ることができず、最高速だけが落ちるという現実を見て、フェルスタッペンは予選に向けて、リヤウイングをミディアム・ハイ仕様に戻した。

一方、角田はフリー走行3回目でもミディアム・ハイ仕様を使い、予選もそのままミディアム・ハイ仕様でアタックした。つまり、今回のレッドブルが抱えたグリップ不足の原因はリヤウイングだけの問題ではなく、足回りなどのメカニカルな部分も含めた総合的な問題があったと推測される。
Q1を13番手で通過した角田だったが、Q2の最後のアタックは1分16秒816にとどまり、11番手で敗退。1分16秒605でQ2を突破したフェルスタッペンとのタイム差は、0.211秒だった。
「マックスとの差が縮まったことはポジティブな結果でした。マックスとコンマ2秒差だったら、普通はQ3へ行けるので、今回は残念です」
結果だけを見ればQ2敗退だが、その内容はアメリカGPよりも改善していた。それだけに、悔やまれる予選となった。
