COTAのF1開催延長が米国内候補地に与える影響。ラスベガスGPは近く消滅の可能性も
先週末10月17〜19日に、2025年のF1第19戦が開催されたサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)が、少なくとも2034年末まではアメリカGPの開催を継続することが確定した。このことは今後数年間でレースをカレンダーに組み入れたいと希望している他のアメリカのプロモーターに直接的な影響を及ぼしている。
今年初め、マイアミのプロモーターは少なくとも2041年末まではレースを開催を継続する新たな契約を締結した。つまり、アメリカGPとマイアミGPのふたつは長期間F1カレンダーに残ることになる。
このスポーツへの関心は過去10年間で飛躍的に高まり、『AppleTV』がアメリカでの放送権を獲得したことでさらに拡大する可能性があるものの、各チーム、F1、FIA国際自動車連盟は、たとえアメリカほどの大国であっても、グランプリ開催は年間3回が限界だと認識している。こうした契約によって、ラスベガスは少々危うい立場に立たされていると考えられる。
リバティ・メディア自身が企画と宣伝を行っているナイトレースの反響は、F1のCEO(最高経営責任者)であるステファノ・ドメニカリと経営陣が期待していたほどではなかった。初回開催時には多くの有名人がコース上や各種イベントに登場したことで注目を集めたが、その後ラスベガスでのF1への関心は急速に低下し、イベントに戻りたいと思う著名人はそれほど多くないようだ。

FP2の準備が大幅に遅れ、警備員が勤務を終えて帰宅してしまったために、FP2開始前に強制的に常連の観客がスタンドから追い出されたという初年度の惨事の後、ラスベガスGPのチケットの売れ行きは低迷し、地元のホテルは需要不足に不満を募らせている。F1ファンがラスベガスを去っただけでなく、常連のギャンブラーもグランプリの運営に邪魔されるのを避けるために、週末の間この街を避けているためだ。
レース会場がある土地を所有しているリバティ・メディアは、最初の契約を2027年末まで延長したが、ラスベガス、シカゴ、ニューヨークなどの大都市と独自のレース開催について予備的な話し合いをもっていることが理解されている。アメリカのプロモーターたちがグランプリ開催に年間1億ドル(約152億4500万円)近くを投じる用意があるように見えることから、リバティ・メディアは期待どおりの成功が得られなかったと判断を下して、新たな分野に移って巨額の利益を得るかもしれない。
今季2025年のイベントの行方次第では、ラスベガスGPは2027年末までにカレンダーから消えるかもしれないが、このイベントは年間でもっとも評価されていないグランプリの上位にあっという間に上り詰めているため、F1関係者にそれを残念に思う人はほとんどいないだろう。
