勢いに乗るフェルスタッペンは33ポイント獲得。マクラーレンとは対照的な方針でアドバンテージを確保【トップチーム密着】
マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がスプリントとレースで優勝し、マクラーレン勢がスプリントで2台ともリタイア。レースでもチャンピオンシップリーダーのオスカー・ピアストリ(マクラーレン)が5位と奮わなかったことで、ドライバーズチャンピオンを賭けたマクラーレンとレッドブルの戦いが、いよいよ本格化してきたようだ。
2025年F1第19戦アメリカGPを終えた段階でのドライバーズポイントは以下の通りだ。
1位:ピアストリ/346点
2位:ノリス/332点
3位:フェルスタッペン/306点
残りは5戦。夏休み明け以降の5戦で優勝3回、2位2回と絶好調のフェルスタッペン。もし、残り5戦をフェルスタッペンが全勝すると、その時点でランド・ノリス(マクラーレン)を上回る。またオスカー・ピアストリ(マクラーレン)も全戦2位以上の成績を残されないと、逆転されてしまう。
さらに第21戦サンパウロGPと第23戦カタールGPはスプリント・フォーマットが開催されるので、状況は現在勢いがある追う側のフェルスタッペンに有利だ。
チャンピオンシップ争いにおいて、フェルスタッペンのほうがマクラーレンに対して有利であることは、両チームの戦い方からも今後の大きな影響を与える可能性がある。
マクラーレンはタイトル獲得の可能性がある限り、どちらか一方のドライバーを犠牲にすることはしないということをアメリカGPのレース後、アンドレア・ステラ代表が明言している。
これに対して、レッドブルは特に明言していないがフェルスタッペンを優先していることは明白だ。これはコース上のポジションやピットストップの優先権だけの話ではない。使用するパーツにおいても同じことが言える。
今シーズンの残り5戦において、マクラーレンはアップデートパーツを投入しないとステラが語った背景には、もし彼らがアップデートパーツを投入する場合は、2台分を準備しなければならないことがある。これに対して、レッドブルはシーズン序盤からフェルスタッペンにのみアップデートパーツを投入するケースが目立った。オランダGPで2台に投入した1世代前のフロントウイングは、いまではフェルスタッペンのスペアとして角田裕毅が使用できない状況になっているのも、そのためだ。
年間を通して2台を平等に戦わせるのは、チーム内のパワーバランスという点でも難しいが、バジェットキャップが導入されている現在のF1では、予算的にも難しくなっている。こういった面でも、1台に集中できるレッドブルのほうが終盤戦へ向けてアドバンテージを得やすくなっているのだと考えられる。
残り5戦、もしかすると鍵を握るのはレッドブルのふたり目、角田の役回りとなるかもしれない。