チームオーダーに背いてガスリーを追い越したコラピントに、アルピーヌが失望示す。来季シートに影響あるか
F1アメリカGP決勝終盤、チームオーダーに反して、フランコ・コラピントがチームメイトのピエール・ガスリーを追い抜いたことを、アルピーヌのチーム上層部は問題視している。マネージングディレクターであるスティーブ・ニールセンは、チームとしてコラピントの行動に失望していると明言した。チーム関係者によれば、ニールセンは内々にコラピントに話をしたということだ。
コラピントは、イタリアからシンガポールの3戦において予選でガスリーを上回ったが、オースティンでは敗れた。レース序盤、コラピントはガスリーについていくことができず、26周目の時点で2台のアルピーヌの間には6.8秒の差があった。
ガスリーはアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)からのアンダーカットを防ぐために早めのタイミングでピットイン。そこからソフトタイヤで残り30周を走り切ることになった。
コラピントはガスリーより5周後にタイヤ交換を行い、チームメイトの約13秒後方でレースに復帰し、新しいタイヤで徐々に差を詰めていった。ガスリーはアントネッリとアイザック・ハジャー(レーシングブルズ)の攻撃を懸命に防いだものの、51周目には2台ともに抜かれ、チームメイトに追いつかれた。この時、2台のアルピーヌの背後にはガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー)が張り付いていた。
チームとしては、ガスリーがコラピントにDRSを与え続けることで、ボルトレートを2台の後ろに抑え切ることができると判断し、残り3周の時点で、コラピントへガスリーの後ろにとどまるよう指示を出した。
しかしコラピントは即座に「彼(ガスリー)は遅すぎる」と不満を述べ、最終周の前の周の開始時にターン1でガスリーを抜き去り、すぐに彼を置き去りにしていった。DRSを失ったガスリーは、ボルトレートに対抗できず、最終周の開始時に抜かれてしまった。最終的に、コラピントは17位、ボルトレートは18位、ガスリーは最下位19位という結果だった。
レース後、明らかに腹を立てていたニールセンは、「多くのチームと同様に、我々も状況とハードタイヤの性能を見て、戦略を調整する必要があった。ハードはレースで効果的なタイヤではないと判断したのだ」と説明した。
「ピエールの側では、アンダーカットの脅威に対応するため、やや早めのタイミングでソフトへ交換した。しかしその際のピットストップ作業に時間がかかった。これについては検証して修正する。フランコはミディアムタイヤでの走行を延長することができ、レース終盤にタイヤの差を生かしてピエールに追いついた」
「我々は2台の燃料を管理しており、さらに先頭集団が接近している状況で残り周回数という変数も考慮し、ドライバーたちに順位を維持するよう指示を出した」
「チームとして、ピットウォールが出した指示は最終的なものであり、今日それが実行されなかったことに失望している。これについては内部で検証し、対処する」
ニールセンとエグゼクティブアドバイザーのフラビオ・ブリアトーレから叱責を受ける前、コラピントは自身の行動を正当化し、「正しいことをしたと思う」と述べていた。
「それ以前に、僕は何度もポジションを譲ってきた。(あの時は)僕の方がずっと速かった。ピエールはタイヤが古く、約1秒遅かったんだ」
「状況を考えれば、ベストな行動だった。ボルトレートが激しく攻めてきていたし、ピエールを抜くことは、自分を守る手段でもあった。あそこで抜かなければ、彼(ボルトレート)は僕たち両方を抜いていただろう。僕たちは17番手と18番手を争っていた。それについて議論することに意味はない」
一方、ガスリーはチームメイトの行動に明らかに不満を抱いていたが、「物語を煽るようなこと」はしたくないとして、「チームとして検証すべきことは多くあるが、主な問題は僕たちが単純に遅すぎるということだ」と述べるにとどめた。
コラピントは、来年アルピーヌに残留するためのシート争いに直面している。2026年のガスリーのチームメイト候補には、コラピントの他に、リザーブドライバーのポール・アーロンや現在レッドブルに所属する角田裕毅も含まれていると考えられている。オースティンでチームオーダーを露骨に無視した今、ブリアトーレとニールセンが来季ドライバー候補としてコラピントをどう評価するのか、今後の展開が注目される。