シンガポールGP表彰式でシャンパンファイトに加わったペトロナスCEOが謝罪「イスラム教徒として配慮に欠けた」
マレーシアの国営の石油企業『ペトロナス』のCEOを務めるテンク・ムハンマド・タウフィックは、2025年F1第18戦シンガポールGPの表彰式において、熱心にシャンパンファイトに加わったことについて、彼自身の言葉で「間違いだった」と自覚したことを認め、謝罪した。
メルセデスにとって2018年以来となるシンガポールGPでの優勝であり、特にマレーシアを拠点とするペトロナスにとっては喜ばしい勝利を祝うため、タウフィックはメルセデスを代表してレースウイナーのジョージ・ラッセル、2位のマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、3位のランド・ノリス(マクラーレン)とともに壇上に上がった。
それに続いていつもの儀式が行われた。コルクが飛んでシャンパンのしぶきが上がり、きらめく霧となるなか、タウフィックはドライバーたちに加わった。しかし、2020年からペトロナスを率いてきた49歳のタウフィックは、後になってシャンパンの混乱のなかで自身が演じた即席の役割が、イスラム教徒が多数を占めるイスラム教国の国民として、人々から批判を浴びるかもしれないことを認識した。
タウフィックは少しの謙虚さと文化的感受性への配慮をもって、すぐに過ちを認め、『The Straits Times』が報じた声明のなかで「勝利の瞬間を祝った私の衝動的な興奮は、場違いだったかもしれないことを認める」と述べた。そして爽快なほど率直に、タウフィックは実際にはアルコールを飲んでいなかったが、その行為が象徴的な意味を持つことを認識していたと明らかにした。
「私はアルコールを一切摂取していないと断言できるが、イスラム教徒として、このような祝賀行事に参加することへの配慮についてもっと自覚しておくべきだった」
「意図せず不快な思いをさせてしまったことに対しては謝罪をし、自分の行動に全責任を取りたいと思う」
F1ではバーレーン、サウジアラビア、アブダビのレースでシャンパンをノンアルコール飲料に切り替えているが、シンガポールではそのような制限は適用されていない。それでもこの小さな失態は、純粋な勝利の瞬間であっても、文化的認識がほんの一瞬の間表彰台から滑り落ちることがあるということを、穏やかに思い出させることとなった。
メルセデスとペトロナスにとって、ラッセルの優勝はともに獲得した122回目の勝利となった。そして少なくともタウフィックの反応は、レースの喜びのなかでは、最も冷静な幹部でさえもシャンパンファイトに夢中になりすぎることがあるということを証明した。