2025.10.08

速さ=正義!? 華やかさだけでない、大空を駆け巡るF1ドライバーのプライベートジェット事情


ホンダの航空機事業子会社ホンダ・エアクラフト・カンパニー(HACI)が開発した『ホンダジェット・エリートII』のプロモーションにも登場したマックス・フェルスタッペン
Other Photo

 マックス・フェルスタッペンからルイス・ハミルトン、さらには往年の名ドライバーたちまで。F1サーカスで世界中を転戦し次々と空港を飛び立つアスリートたちは、プライベートジェットで大空を駆け巡る。イタリアが誇る老舗モータースポーツ総合誌『autosprint.it(アウトスプリント)』では「F1は単なるスポーツではなく、国際舞台で最もエクスクルーシブで華やかな世界のひとつ」とし、ステータスの延長線上にあるだけでないドライバーたちの“愛機”を紹介している。

 スピード、華やかさ。そんな世界に身を置く多くのドライバーは、サーキットを制覇するだけでなく、世界的なプロスポーツと同様に真のトッププレイヤーのようなライフスタイルを送っている。時計はスーパーカーと同等の価値を持つ……という価値観に従えば、ジェット機は空港のプライベートなラウンジや専用滑走路を行き来するトップアスリートのシンボルでもある。

 つまり多くのドライバーにとって、プライベートジェットは単なる移動手段ではなく、オーダーメイドの快適さと最大限のプライバシーを備えた特別な乗り物と言える。同時に世界中で開催されるグランプリの過密スケジュールの中で、これらのジェット機は時間とエネルギーを節約するための不可欠なツールにもなりつつある。

 洗練されたデザイン、限りないラグジュアリー、そして驚くほどの価格。そんなサーカスの主役たちが所有するプライベートジェットの一部を、ここで紹介しよう。

 直近にはホンダの航空機事業子会社ホンダ・エアクラフト・カンパニー(HACI)が開発した『ホンダジェット・エリートII』のプロモーションにも登場し「あなたのパイロットが到着しました」と紹介された4度のF1世界チャンピオンであるマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、今季初頭に自らが所有するプライベートジェットを新調。世界一周のフライトを叶えるために、18人乗りで航続距離1万2000Kmを誇るビジネスジェット『ダッソー・ファルコン8X』を購入した。

 この機体は、さまざまなニーズに合わせてフルカスタマイズが可能で、時差ボケの影響を最小限に抑えるようにも設計されており、高度1万2000mを超えても機内高度を約1200mに維持する高機能の与圧システムを備える。

 また彼は勝利を目指す方法論と同じく一切の妥協を許さず、機体の改装に5000万〜5500万ユーロ(約80〜90億円)を投資。車体カラーはクラシックなものではなく、マットブラックにオレンジのディテール、そしてフロントウイングにはライオンのデザインが施されている。

『ホンダジェット・エリートII』のコクピットドリルを受け「これなら操縦できそうだ」と興味津々
そのフェルスタッペンは、今季初頭に自らが所有するプライベートジェットを新調した
ルイス・ハミルトンは“ロッソ・フェラーリ”の愛機を2019年に売却

 そして今季より待望の跳ね馬パイロットになったルイス・ハミルトン(フェラーリ)は、それ以前より最高時速850kmで最大19人の乗客を収容できる『ボンバルディア・チャレンジャー605』を所有しており、その機体はまさに“ロッソ・フェラーリ”を彷彿とさせるものだった。

 この燃えるような赤い色を特徴とする7度のワールドチャンピオンの愛機は、ハミルトン自身が「より持続可能なライフスタイルを追求する」ため、メルセデス時代の2019年に売却を決意。ただしスクーデリア・フェラーリは現在スポンサーに有名な航空会社を擁しており、シャルル・ルクレールとハミルトンを乗せ、豪華なプライベートジェットで世界中を転戦している。

 一方、F1という特別な世界に24年間も身を置くスペイン出身のフェルナンド・アロンソは、幾度となく自家用ジェットを購入。例えば2009年にはガルフストリームのジェット機を所有していたが、小規模な航空事故に遭遇。ガールフレンドや義理の兄弟、友人数名とともにケニア旅行から帰る途中、離陸操作中にジェット機が空港の建物に衝突し翼が破損したものの、乗客と乗員全員に怪我はなかった。

 現在はフランスのダッソー・アビエーション社が製造した民間ジェット機『ダッソー・ファルコン900』を愛用しており、同シリーズはテールコーンに3基のエンジンを搭載した独創的デザインを誇る。

 また、フェルスタッペンの現在のパートナーであるケリーの父で、言わずと知れた3度のF1世界チャンピオンに輝くネルソン・ピケも、世界最速のジェット機のひとつである『セスナ750サイテーションX』を所有。モデル名“PR-JAQ”は1999年に製造され、ブラジルにわずか18機しか存在しない機体のひとつとされた。

 そしてフェラーリとマクラーレンで3度のワールドチャンピオンに輝いたオーストリア出身の“パイロット”ニキ・ラウダは、大陸間飛行に適したスピードとクラス最大級のキャビンを両立し、グローバル・ビジョン・フライトデッキを備えた『ボンバルディア・グローバル5000』を所有していた。

 オーストリアを拠点に世界各地のF1サーキットを定期的に飛び回り、空とサーキットを制覇する術を心得ていたラウダは、それ以前にも同社の『チャレンジャー300』などを所有していたが、それ以上に有名なのは1979年に航空会社『ラウダエア』を設立したことだろう。

 シングルシーターだけでなくフライトコクピットでも熟練のパイロットであったラウダは、契約に署名するだけでなく自ら所有する航空機を操縦。運営する航空会社では悲劇的な事故も経験しつつ、のちにローコスト航空会社グループの『ラウダモーション』を設立するなど、ラウダにとってフライトは単なる情熱以上のものだった。

シャルル・ルクレールとハミルトンは、フェラーリのスポンサーであるビスタジェットを利用する
F1という特別な世界に24年間も身を置くスペイン出身のフェルナンド・アロンソ
エイドリアン・ニューウェイと言葉を交わす生前のニキ・ラウダ。エアクラフト談義に花が咲いたか


(autosport web)

最新ニュース一覧

2025-10-09更新
2025-10-08更新
2025-10-07更新

最新PHOTO一覧






|TOP|NEWS|