新型フロア投入で連勝中のレッドブル、苦手なコース特性を持つシンガポールGPは「本当のテストになる」と警戒
レッドブルF1のテクニカルディレクターを務めるピエール・ワシェは、新しいフロアによってチームのパフォーマンスが改善したことを認めたものの、次の第18戦シンガポールGPに向けては、苦手とする特性を持つサーキットでの戦いを前に冷静な態度を示した。
マクラーレン陣営が2025年シーズンを席巻し、これまでの17戦で12勝を挙げてきたが、レッドブルが第16戦イタリアGPと第17戦アゼルバイジャンGPで連続優勝を果たしたことで、ふたたび希望が燃え上がっている。しかしワシェは、次のシンガポールGPが、彼らの刷新されたマシンにとって究極のリトマス試験になるだろうと警告している。
レッドブルにとって、すべては今月初めのイタリアGPで始まった。チームはそこで、マックス・フェルスタッペンを栄光に導いた画期的な新型フロアを投入した。このアップグレードの輝きは、スピードの殿堂モンツァだけでなくバクーでも続き、フェルスタッペンはふたたび傑出したパフォーマンスを発揮して、チームに2025年のレースにおける4回目の勝利をもたらした。
ファンはシーズン後半の盛り上がりに沸いたが、ポッドキャスト『F1 Nation』に出演したワシェは、地に足をつけた姿勢を崩していなかった。
「新しいフロアを導入し、うまくいっているようだ」とワシェは語り、最近の好調子はそのおかげだと認めた。
「おそらく、この新しいフロアでのセットアップの調整によって、競える可能性が生まれている。低ダウンフォースのコースでは、ふたたび競争力が高まったようだ」
では、シンガポールは? それはまったく別の獣だ。マシンを噛み砕き、驚きを吐き出す、曲がりくねった高ダウンフォースの悪夢だ。ワシェは次戦のナイトレースの課題について語る際、甘い言葉を並べ立てることはなかった。
「シンガポールで、我々がどの位置につけているかがわかるだろう。これは通常我々が好むタイプのコースではない。これは本当のテストとなるだろう。もし我々がそこで競争力を持ち、それほど劣勢に立つことがなければ、問題は解決するだろう」
フェルスタッペンの活躍によって、コンストラクターズタイトル獲得の話題が広がっているが、ワシェは持ち前の現実主義でその熱狂を抑えた。レッドブルの視線は、少なくとも今のところはマクラーレンを追い詰めることではなく、メルセデスとフェラーリとの選手権2位争いに向けられている。
「レースごとに違う。レースに勝つのはとても難しいし、この競争に勝つのはとても難しいということを認識しなければならない。我々は2レース連続で勝利したが、争いに加わっていると断言するのは早計だ」
「我々の焦点は、マシンをできるだけ速くすること、コンストラクターズ選手権でフェラーリとメルセデスに勝つことだ」
シンガポールGPの舞台となるマリーナベイ・ストリート・サーキットは、チームが最近好成績を収めてきたコースとはまったく対照的な特徴を持っており、アップグレードと戦略の調整によってライバルを抑えられるかどうかに注目が集まるだろう。