順位入れ替えは「もう終わったこと」とピアストリ。噂されるリバースグリッドへの反対意見も語る/F1第17戦木曜会見
今季、圧倒的な強さを見せるマクラーレン。早ければ今週のF1第17戦アゼルバイジャンGPでコンストラクターズ選手権のタイトルが決まる勢いだ。それを踏まえてオスカー・ピアストリ(マクラーレン)には、こんな質問が飛んだ。
Q:次はドライバーズタイトルに焦点が移りますね。前戦イタリアGPでランド・ノリス(マクラーレン)にポジションを譲った件について、ここまでの2週間でいろいろと考えましたか?
ピアストリ:もちろん、考えることはあったよ。でもチームともしっかり話し合ったことで、お互いに理解を深め、今後どうレースをしていくかが明確になった。それが一番大事なことだ。あの件はもう終わったことだよ。
Q:コンストラクターズタイトルが決まれば、チームの方針も変わり、干渉も少なくなるのでは?
ピアストリ:コンストラクターズの結果とはあまり関係ないと思う。どういう形でレースをしていくかも話し合ったけど、それについてはコメントできない。(方針が)明らかになってしまうと、他チームにとって攻略しやすい標的になってしまうしね。
Q:もしモンツァが優勝争いの1戦だったら、それでもポジションを譲っていましたか?
ピアストリ:実際はそうじゃなかったからね。……正直わからないけど、(決断は)もっと難しく感じたかもしれない。とにかくああいう状況にならないようにしたいね。
ピアストリの返答は、いつもながらそつのないものだった。とはいえ最後の質問への答えは、少し本音を覗かせた感じだった。
F1では、2027年にはスプリントレースを12戦に、さらにリバースグリッドも導入しようという話が出ている。それについてのドライバーたちの見解は、微妙に分かれていた。
ニコ・ヒュルケンベルグ:スプリントレース自体は嫌いじゃない。サーキットによって向き不向きはあるけど、基本的には歓迎だよ。リバースグリッド導入は、イエスとノー、はっきり言えないかな。F1は究極のパフォーマンスを追求するスポーツだ。でも同時に興行性も大事だよね。競技性とのバランスをどう取るかが難しい。でも変化にはオープンだよ。
ピエール・ガスリー:今年ならリバースグリッドでもよかったかもね(笑)。でも来年以降パフォーマンスが上がったら、反対するかも。今の通常フォーマットはすごくいいと思う。フリー走行が3回あって、エンジニアと一緒にクルマを作り込める。それで予選、決勝と積み重ねていく。この流れはドライバーにとってもチームにとってもいいと思う。もちろん変化は受け入れるべきだけど、今の形は十分に魅力的で完成度が高いと思う。個人的には現状維持寄りだね。
ピアストリ:スプリントを増やすのは必ずしも悪いことじゃないけど、毎戦は必要ないと思う。リバースグリッドは、僕の立場からすると明らかに悪いアイデアだ。FIA F2やFIA F3ならともかく、F1はタイトルを獲ることが唯一最大の目標だから、そこにリバースグリッドを絡めるのは競技の本質を損なうと思う。だからスプリント増加はOKだけど、リバースグリッドは反対だ。
ガスリーに対しては、レッドブルで苦戦の続く角田裕毅についての質問が出た。
Q:ピエール、あなたはこれまでのキャリアで何度か困難な時期を経験し、特にレッドブル時代は厳しい状況から立ち直ってきました。同じような状況にある角田を助ける上で、参考になる視点やアドバイスはありますか?
ガスリー:それぞれの状況はすごく個別的で、僕らはみんなそれを違う方法で受け止め、乗り越える必要がある。どんなアスリートか、どんなサポートや環境が必要かによって変わるからね。ユウキとは、そういう話を普段からよくしているよ。最終的に大事なのは「どうやってベストのパフォーマンスに集中するか」なんだ。スポーツで問われるのは、最後は結果だからね。もちろん周囲の雑音は常にある。大事なのは、それを頭に入れないこと。毎日、どうすれば今より上達できるか考えること。それだけが前に進む方法だ。いい時期でも苦しい時期でも、それが自分を前進させる。ユウキが今年の終わりまでにそういう姿勢を持ち続けられることを願っているよ。
なんとか逆境を跳ね返してほしいという、ガスリーの真摯な願いが感じられるコメントだった。角田もその思いは、強く感じていることだろう。