フェルスタッペンの勝負を決めたFP3のセットアップ変更。直線スピードの大幅改善が勝利に繋がる/F1 Topic
「今回の勝利はFP3(フリー走行3回目)でのセットアップ変更が大きかった」
2025年F1第16戦イタリアGPで、2位ランド・ノリス(マクラーレン)に19.2秒の大差をつけて勝利したマックス・フェルスタッペン(レッドブル)のレースエンジニアを務める“GP”ことジャンピエロ・ランビアーゼは、そう勝因を語った。
ランビアーゼによれば、変更はフリー走行3回目のセッション中に行われたという。通常、土曜日の予選と日曜日のレースに向けたセットアップ変更は金曜日の夜に決定し、土曜日のフリー走行3回目の前までに作業を終える。フリー走行3回目で変更したセットアップを確認し、よりよいセットアップにするためのファインチューニングをするものの、この段階で大きな変更は行わない。なぜなら、セットアップを変更してうまくいかなかった場合、さらに変更してそれを試す時間が残っていないからだ。
ところが、フェルスタッペンとレッドブルは、今回のイタリアGPのフリー走行3回目で、禁じ手とも言える大きなセットアップ変更を行った。その変更とは、リヤウイングのダウンフォースレベルだ。
フリー走行3回目、多くのドライバーが予選に向けてソフトタイヤを温存するために、ミディアムタイヤかハードタイヤを選択するなか、フェルスタッペンは新品のソフトタイヤでコースインした。セットアップを変更したマシンのポテンシャルを予選本番と同様のタイヤで試したかったからだ。
このとき、フェルスタッペンのマシンに搭載されていたリヤウイングは、チームメイトの角田裕毅と同様の、レッドブルがイタリアGPに用意していたローダウンフォース仕様のリヤウイングだった。
フロントウイングは角田とほぼ同様だったが、若干アッパーフラップの上端を削った仕様になっていた。
しかし、マクラーレン勢が予選とレース仕様に施してきた空力仕様に対して、スピードが足りないと悟ったレッドブルとフェルスタッペンは、思い切った決断をする。金曜日の夜から土曜日にかけて、コンポジット担当のスタッフが現場で削っていた超ローダウンフォース仕様のリヤウイングを持ち出してきたのである。
リヤのコントロールに自信があるフェルスタッペンはストレートラインスピードを求めて、リヤウイングの上端を削った超ローダウンフォース仕様に交換。
一方、角田は「金曜日のロングランでのタイヤのデグラデーション(劣化)を考えて、通常のローダウンフォース仕様のままで予選とレースに臨むことにした」と言う。
この変更によって、フェルスタッペンは予選でポールポジションを獲得。レースでも一度は2番手に後退するも、高いストレートスピードを活かしてノリスをオーバーテイク。19.2秒の大差をつけて、第7戦エミリア・ロマーニャGP以来となる今シーズン3勝目を飾った。