【決勝日レポート】
フェルスタッペン完勝、マクラーレン勢に19秒差で今季3勝目。角田裕毅は入賞ならず【決勝レポート/F1第16戦】
9月7日、2025年F1第16戦イタリアGPの決勝レースが行われ、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がポール・トゥ・ウインで自身通算66勝目/今季3勝目を飾った。
2位にランド・ノリス(マクラーレン)、3位にオスカー・ピアストリ(マクラーレン)が続いた。角田裕毅(レッドブル)は13位となった。
第16戦イタリアGPの舞台はモータースポーツの歴史が刻まれた伝統のモンツァ・サーキット。スタートタイヤは上位グリッド13台を含む計14台がミディアムタイヤ(イエロー/C4)をチョイス。
14番グリッドのアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)、15番グリッドのエステバン・オコン(ハース)、16番グリッドのランス・ストロール(アストンマーティン)、ピットスタートのアイザック・ハジャー(レーシングブルズ)、ピエール・ガスリー(アルピーヌ)の5台がハードタイヤ(ホワイト/C3)を選択。そして18番グリッドのリアム・ローソン(レーシングブルズ)はただひとりソフトタイヤ(レッド/C5)を履いた。
フォーメーションラップが始まるなか、12番グリッドスタートのはずだったニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)に対し、チームからリタイアの指示が飛んだ。グリッドからヒュルケンベルグが姿を消すなか、気温27度、路面温度45度、湿度45パーセントというコンディションで、53周のレースはスタートを迎えた。
2番グリッドスタートのノリスが好スタートを決めてフェルスタッペンと並び内側から第1シケインに入った。2台がサイド・バイ・サイドとなるなか、アウト側のフェルスタッペンはシケインをショートカットして首位を守るかたちとなり、フェルスタッペンは2周目の第1シケインでノリスにラップリーダーの座を譲る。
また、混戦のさなか4番グリッドスタートのシャルル・ルクレール(フェラーリ)が3番手に浮上。4番手ピアストリ、5番手ジョージ・ラッセル(メルセデス)、6番手ガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー)というオーダーに。
角田はスタート直後の第1シケインをショートカットしルイス・ハミルトン(フェラーリ)に先行を許すも、スタートの蹴り出しが遅れたアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)をかわしたことでスタートポジションの9番手を守った。
4周目、ターン1でフェルスタッペンが首位に浮上すると、フェルスタッペンはファステストを更新する走りで早々にノリスをDRS圏外まで引き離す。一方、6周目にはピアストリがターン1でルクレールをかわし3番手に浮上する。ただ、ルクレールのペースに付き合わされたこともあり、この時点でノリスとピアストリの間には3.6秒のギャップが開いてしまった。
前戦まで他を圧倒していたマクラーレン勢だったが、このイタリアGPではフェルスタッペンの走りに太刀打ちできずに時間が進む。12周目時点でノリスに3.8秒、ピアストリに9秒のリードを築くと、フェルスタッペンはさらに後続を引き離す体制に。
また、序盤にルクレールの後ろについたことでフェルスタッペン、ノリスとの間にギャップが開いたピアストリは、そのギャップを埋めることができず。DRSも使えない状況下で我慢の戦いが続いた。
フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)を追って9番手につけていた角田だったが、次第にアロンソに引き離され、DRSが使えない状況に。これで角田を先頭にトレイン状態となるなか、18周目の第1シケインでアントネッリにかわされ10番手に後退する。
その角田はトップ10で最初となる20周目にハードタイヤに交換。ただ、19周目にハードタイヤに変えていたオリバー・ベアマン(ハース)に先行され、アンダーカットを許す結果に。さらにはソフトタイヤスタートで10周目にハードタイヤに変えていたローソンにも先行され、22周目時点で19番手/タイヤ交換組の最後尾5番手となる。
そんななか、25周目のターン10(バリアンテ・アスカリ)でタイヤ交換組トップだったアロンソがサスペンショントラブルに見舞われ、レースを終えることに。これで角田は18番手浮上する。
27周目にはローソンをかわし17番手となるが、そこに至るまでに角田はローソンに前を塞がれ、一度角田が抜くもローソンが無理なオーバーテイクを試み第2シケインでタイヤ同士が接触する状況に。ローソンと角田は戦略が大きく異なるなか、レッドブル・ファミリー同士の不必要な攻防でタイムロスが生じ、直接対決を繰り広げているベアマンとは6秒のギャップが開いてしまう。
さらに34周目には、ミディアムタイヤへ交換したハジャーが角田の前に復帰。結果的にローソンはハジャーが角田の前に出る手助けをすることになった。タイヤの違いもあってか、角田はハジャーをかわすことができず、背後1秒以内にローソンを従えつつ時間が進む。
38周目、ノリスに5秒、ピアストリに11秒の大差を築いたフェルスタッペンがハードタイヤに交換。対するマクラーレンはミディアムタイヤのまま周回を重ねる。41周目の第2シケインでカルロス・サインツ(ウイリアムズ)とベアマンが接触。ただ、2台は即座にコースに戻り、セーフティカー(SC)は入らず。
マクラーレン勢はミディアムタイヤで引っ張るが、フェルスタッペンとはペースが1秒違うこともあり、44周目を迎えるころには、ノリスと11秒差、ピアストリと8秒差にまで縮まる。窮地に追い込まれたマクラーレン勢はバーチャル・セーフティカー(VSC)が入ること期待して走行を続けるが、その間にもフェルスタッペンがファステストを更新し続ける。
46周目に3番手ピアストリ、47周目に2番手ノリスがソフトタイヤに履き替えた。ピアストリが停止時間1.9秒でスムーズにタイヤを変えたが、ノリスのタイヤ交換では左フロント交換に手間取り、停車時間が5.9秒に及ぶチームのミスがあった。
これでフェルスタッペンが首位、18秒遅れで2番手ピアストリ、ピアストリから2秒遅れで3番手ノリスというオーダーに。一旦は自由に戦うことを許したマクラーレンだったが、ノリスの後退はチームのミスということもあり、ピアストリに順位を入れ替えるように指示。ピアストリはこれを受け入れ、50周目にノリスを先行させる。
ポジションを入れ替えてからは自由に戦えるマクラーレンだったが、前に出たノリスは早々にピアストリに1秒以上のギャップを築いて前を死守する。
53周目を終え、フェルスタッペンが後続を大きく引き離し完勝。ポール・トゥ・ウインで自身通算66勝目/今季3勝目を飾った。19.207秒差の2位にノリス、フェルスタッペンから21.351秒差の3位にピアストリが続いた。なお、ファステストラップの1分20秒901は最終周にノリスが記録している。
以下、4位ルクレール、5位ラッセル、6位ハミルトン、7位アルボン、8位アントネッリ、9位ボルトレート、10位ハジャーまでが入賞となった。角田は13位となった。ハジャーの入賞をアシストしたローソンは14位となった。
次戦となる2025年F1第17戦アゼルバイジャンGPは9月19〜21日に、バクー市街地サーキットで開催される。