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グランプリのうわさ話:メルセデス、ドイツ自動車連盟と共同でF1を目指す若手ドライバーたちを支援
事件はサーキットの外でも起きている。もちろん、サーキットの中で起きているのは言うまでもない。水面下で蠢くチーム、ドライバー、グランプリにまつわる未確認情報を調査員が独自に調査。送られてきた報告書を公開する。
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メルセデスは、ドイツ自動車連盟ADACと協力し、国内の若手選手について、カートキャリアの最初から育成に努めると発表した。1994年から2016年の間に、ミハエル・シューマッハー、セバスチャン・ベッテル、ニコ・ロズベルグらによって、ドイツ人ドライバーが世界選手権で12回優勝していることになるが、ジュニアフォーミュラではドイツ出身の新星が著しく不足している。
ダイムラーのCEOであるオラ・ケレニウスは、草の根レベルのカートでさえ高額な費用がかかることが、ドイツの若いドライバー不足の原因だと考えているが、新たな取り組みによってこの問題に対処したいと述べ、次のように説明した。「我々は刺激を与えたい。そして、明確にしておきたい。チャンスはあるし、もしかしたら、あなたもいつかメルセデスAMGのコクピットに座る日が来るかもしれないということだ」
■regist■メルセデスF1のチーム代表を務めるトト・ウォルフは、自身の息子がカートでレースをしていることからその高額な費用をよく認識しており、次のように説明した。
「競争力のあるカートプログラムにしたい場合、10歳の子供に年間25万ユーロ(約4300万円)の費用がかかる。F4では100万ユーロ(約1億7300万円)が必要になる。そしてそれはずっと続く。業界からの支援がなければ、もはや誰にもやる余裕はない」
そのため、メルセデスはADACモータースポーツチーム・ドイツと共同で、国内で最も将来有望な若手ドライバーのキャリアに資金を提供するスポーツ財団のプログラムを設立した。ウォルフは次のように述べた。
「我々はドイツのブランドとして、我々が育てたドイツ人を数年のうちにふたたびF1に迎え入れたいと考えている。我々がキミ・アントネッリやジョージ・ラッセルにしたようにだ」
ADACの支援により、様々なシリーズで約10年の経験を持つ人材が発掘される予定で、優秀なドライバーがプログラムに参加し、ジュニアフォーミュラ全般にわたる資金、競技、トレーニングの支援を受けることになる。
F1界のベテランであるスティーブ・ニールセンは、オランダGP後の月曜日からアルピーヌのマネージングディレクターとして仕事を始め、自身が非常によく知るチームに復帰した。このイギリス人は、2005年から2009年の、エンストンを拠点とするルノーが最も成功した時期にチームマネージャーを務め、その後にはスポーツディレクターとなった。しかし、2009年に“クラッシュゲート”スキャンダルが勃発した際、その出来事が自分の知らないところで起きたことからチーム経営陣の裏切りを感じ、チームを去った。
なお、自身がよく知るファクトリーに戻る前にニールセンは、以前の職務であるF1のコンサルタントからの短い移行期間中に数日の休暇を取り、ハンガリーGP直後にブダペストで開催されたピレリのタイヤテストを興味深く観ていた。
ピレリタイヤテストでは、リザーブドライバーのポール・アーロンがアルピーヌの“ミュールカー”をドライブした。なお、走行2日目の朝早く、フランコ・コラピントがシャシーを壊してしまったため、走行最終日の午後にテストをする予定だったフランス人ドライバーのピエール・ガスリーは、テストを行わずに早めに帰宅している。
レースチームの運営も行うニールセンは、この機会を利用してコースで実施されている手順を視察し、来週末のモンツァで役立つ貴重な見識を得た。モンツァで彼は、F1とFIAでの長年の仕事からチームのガレージに復帰するのだ。
元ミナルディF1のドライバーであるタルソ・マルケスは、悪い意味でニュースになっている。マルケスはF1でフェルナンド・アロンソの最初のチームメイトだったブラジル人だが、彼はナンバープレートのない高級車のランボルギーニ・ガヤルドを運転していたこと、また、そのクルマが最近多額の負債を抱え、顧客から騙し取るポンジ・スキームを主導した罪で有罪判決を受けた会社の所有物となっていたことから、サンパウロで一時的に逮捕されたのだ。
マルケスは、自分がクルマの所有者でもなければ常勤の運転手でもなく、当時は単にそのクルマを運転していただけであり、ランボルギーニや顧客の記録については一切知らなかったと説明した。マルケスは、「私は庭に駐車してあった顧客のクルマを運転してオフィスを出たが、そのクルマにナンバープレートがないことに気がつかなかった。私が初めてそれを見たのは、止められた時だった」
元ミナルディのドライバーは、「クルマの所有者には未払いの税金や罰金などがあるようで、これは会社のオーナーの何らかの策略だったようだ」とつけ加えた。マルケスは、自身の行動について弁明した。「顧客のクルマを運転することは許可されているので、自分の行動は完全に合法だが、ナンバープレートを付けずに走り出すべきではなかった。実際のところ、それがついていなかったことすら知らなかった」
マルケスは警察署で短期間過ごしてから保釈されたが、出廷予定日を待つ間、定期的に警察署に通わなければならない。
さらに、文書によりこのクルマは、2018年にねずみ講による金融詐欺で有罪判決を受けた企業である『Embrasystem』社に登録されていることが判明した。