ローダウンフォース仕様の感触を掴み初日9番手。課題は“僚友との差を維持しながら”入賞【角田裕毅F1第16戦展望】
F1第16戦イタリアGPは角田裕毅(レッドブル)にとって、第2のホームグランプリ。サーキットがあるモンツァは自宅があるミラノから約15kmのところにあるからだ。母国グランプリの日本GPでも週末はホテルからサーキットへ通っていた角田だが、イタリアGPの週末はシーズン中唯一、自宅から通う。
「レーシングブルズにいたときもエミリア・ロマーニャGPは自宅があるファエンツァから通っていました。いつもと違って、リラックスして臨めそうです」
そう角田は語る。
イタリアGP開幕2日前の9月3日には、自らのマシンを担当するチームのスタッフをイタリアンレストランに招待して、楽しいひとときを過ごした。こういう集いは角田に限らず、ほとんどのドライバーが催しており、チームメイトのマックス・フェルスタッペンも角田と共同で今年の第7戦エミリア・ロマーニャGPで開催した。今回は角田にとって、今シーズン2回目の親睦会となった。
「移籍してきたばかりのころは、まだお互いよく知らなかったのですが、徐々に絆が深まっていって、チームからのサポートも感じています。いまでは一致団結してレースをしている気がします」
前戦オランダGPではレース終盤にペダルマップがピットストップ用に固定されたままでレースを戦うという問題が発生した。角田によれば、「(ペダルマップを元に)戻したのですが、そのタイミングが少し遅かったのかもしれません。いつも聞こえるはずの『戻せ』という無線が聞こえなくて……」
したがって、次からはもし無線で「戻せ」という指示が聞こえなくても、ピットレーンにいる間にペダルマップを戻すことで再発を防ぐことにしているという。
前戦の反省を踏まえて臨んだイタリアGP初日。レッドブルはモンツァ特有のローダウンフォース仕様の空力パッケージを投入。角田はそのアップデートを確認するように、まずは1回目のフリー走行を14番手で終えた。
ローダウンフォース仕様の感触をつかんで臨んだ2回目のフリー走行では、「少しフレックス(シャーシのたわみ)があったり、予想外に大量の砂利を拾ってしまったり、アタックラップの最後にトラフィックがあったりしたけど、ペースは本当によかった」と、フリー走行1回目から約1秒タイムを縮めて、9番手のタイムをマーク。チームメイトのフェルスタッペンとのタイム差も約0.2秒とした。
しかし、油断はできない。オランダGPのフリー走行2回目でも角田はチームメイトとの差を0.317秒まで縮めていた。土曜のフリー走行3回目の後、フェルスタッペンは大きくセットアップを変更し、予選ではコンマ5秒もの大差がついた。
フェルスタッペンが決断したセットアップ変更は、テクニカルディレクターのピエール・ワシェによれば、「通常では決してやらない大掛かりなものだった。フリー走行3回目があまりよくなかったのでリスクをとったけど、マックスでないと乗りこなせなかったと思う」と言う。
まだRB21を100%乗りこなせていない角田がフェルスタッペンと同じように予選直前に大きなセットアップ変更をしても、うまく行かなかった可能性は高い。しかし、フェルスタッペンのセットアップ変更は、今後このマシンを理解していくためには、「大いに参考になった」と角田は語る。
フェルスタッペンとのタイム差を維持しつつ、ポイントを獲る。これが残りのレースでレッドブルが角田に与えている課題だ。