2025.09.05

マクラーレンの強みは“中速コーナー”。表彰台を逃したカナダに似たモンツァで勢力図は変わるか【トップチーム密着】


2025年F1第15戦オランダGP オスカー・ピアストリ(マクラーレン)
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 2025年シーズンの後半戦に入っても、マクラーレンの強さは前半戦までと変わらなかった。その最大の理由はコース特性にある。

 マクラーレンのアンドレア・ステラ代表によれば、「GPSデータを見れば、我々のマシンは他のチームのマシンと比較すると中速コーナーで最も速い」と言う。

【トップチーム密着】
2025年F1第15戦オランダGP ランド・ノリス(マクラーレン)

 逆にその中速コーナーを苦手としているのが、レッドブル。中速コーナーのなかでも特にレッドブルが苦手としているのが、ステアリングを切り続けるような回り込むコーナー。前戦ハンガリーGPで苦戦を強いられたのも、ハンガロリンクに回り込む中速コーナーが4つもあったからだった。

 今回のF1第15戦オランダGPの舞台であるザントフォールト・サーキットは、ハンガロリンクほどではないが、回り込むコーナーがふたつある。1コーナーと3コーナーだ。そのため、そのふたつが集中していたセクター1で、レッドブルはマクラーレンに対して大きく遅れをとっていた。オランダGPの予選ではマックス・フェルスタッペン(レッドブル)はポールポジションのオスカー・ピアストリ(マクラーレン)に対して0.263秒及ばなかったが、セクター1だけで0.241秒も遅れていた。

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2025年F1第15戦オランダGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)

 逆にこのセクター1で速かったのが、アイザック・ハジャー(レーシングブルズ)とウイリアムズ勢の2台。セクター1の区間ベストタイムだけで比較すると、この3台がジョージ・ラッセル(メルセデス)とシャルル・ルクレール(フェラーリ)とともに、23.6秒台の区間自己ベストタイムをセクター1で記録していた。

 セクター1で区間自己ベストタイム(23.6秒台)を記録していたラッセル、ルクレール、アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)、ハジャー、カルロス・サインツ(ウイリアムズ)のうち、アルボンはQ2の最後のアタックでセクター1でわずかにミスをしてQ2で敗退。残る4人のなかで、Q3でセクター1の自己ベストを更新した後、セクター2と3でも区間自己ベストを更新してラップをまとめることができたのは、ハジャーひとりだけだった。ハジャーが乗るレーシングブルズのマシンもまた、低中速コーナーとの相性がよかった。

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2025年F1第15戦オランダGP アイザック・ハジャー(レーシングブルズ)

 今シーズン12勝目を挙げたマクラーレンだが、ステラ代表はこう懸念を示す。

「我々には弱点もある。たとえば、シルバーストンのコプスやスパのプーオンなどの高速コーナーでは、我々は最速のマシンではない。同様に、非常に低速のコーナーでも、我々は最速ではない」

 マクラーレンが今シーズン優勝争いに絡むことなく、2台そろって表彰台を逃した唯一のグランプリがストレートを低速コーナーでつないだモントリオール・サーキットで行われた第10戦カナダGPだった。そして、今週末の第16戦イタリアGPの舞台であるモンツァもまたモントリオールと似たような特性だ。オランダGPでの勢力図がトップチームだけでなく、中団グループでもイタリアGPでは大きく変わる可能性がある。



(Text : Masahiro Owari)

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2025-09-05更新

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