2025.09.04

バーレーン政府系ファンドらがマクラーレン・レーシングの未所有株式も買収へ。組織の価値は4年で5倍、約6000億円に


2025年F1第15戦オランダGP オスカー・ピアストリ(マクラーレン)
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 マクラーレン・レーシングは、バーレーンの政府系ファンドである『マムタラカト』とアブダビの『CYVNホールディングス』が、F1チームの株式のうち未所有だった30%を買い取ることに合意したため、湾岸諸国の支援者らの完全所有下に入る予定となっている。

 マクラーレン・レーシングの価値を30億ポンド(40億ドル、約5968億6500万円)以上と評価したこの取引は、驚くべき転換であることを意味する。同チームは、新型コロナウイルスのパンデミック中だったわずか4年前には、緊急資金調達を余儀なくされる状況だったのだ。

『Sky News』の報道によると、取得される少数株は現在、アメリカを拠点とする『MSPスポーツキャピタル』、『Ares Investment Management』、『UBSオコナー』、および複数の小規模投資家を含むコンソーシアムによって保有されている。MSPは2020年に初めて投資を行い、マクラーレン・レーシングの株式15%を約5億6000万ポンド(約1114億4500万円)の評価額で取得した。これは、資産売却と再編を通じて財務の安定化を図ろうとしていたマクラーレン・グループにとって命綱となった。

 マクラーレン・レーシングの価値はわずか4年で5倍以上に急騰しており、投資家たちは今や大きな利益を得ることになる。情報筋によると、この取引は早ければ今週中に発表される可能性があり、そうなればマムタラカトが支配株主としての地位を固めることになるだろう。

■レースでの成功が価値を高める

 この契約は、マクラーレンがCEOのザク・ブラウンの経営のもとでサーキットでの復活を遂げている時期に成立した。昨年のコンストラクターズ選手権でタイトルを勝ち取ったチームは、ここまで2025年シーズンを支配しており、オスカー・ピアストリはチームメイトのランド・ノリスに34ポイント差をつけてドライバーズランキングをリードしている。

オスカー・ピアストリ(マクラーレン)
2025年F1第15戦オランダGP オスカー・ピアストリ(マクラーレン)が優勝

 こうしたスポーツでの成功は、マクラーレン・オートモーティブも統括するマクラーレン・グループ全体の財務基盤の大幅な強化と相まって実現した。簡素化された所有構造により、業務がさらに効率化され、長期戦略が強化されることが期待されている。

 またマクラーレンの30億ポンドを超える評価額は、同社の競争力の復活だけでなく、現代におけるF1フランチャイズの価値の急上昇も反映している。リバティ・メディアの傘下で、F1の世界的な人気は急上昇した。テレビ視聴者数の記録的増加、レースウイークのチケット完売、そしてNetflixで配信されたドキュメンタリー『Drive to Survive(邦題:栄光のグランプリ)』が巻き起こした商業的ブームなどがその要因となっている。

 同様の取引はグリッド全体の傾向を示しており、アストンマーティンは最近、チームの価値を24億ポンド(32億ドル、約4776億2200万円)と評価した株式を売却する計画があることを認めている。

 マムタラカトとCYVNにとって、マクラーレン・レーシングの完全所有権の取得は、名門モータースポーツおよび自動車ブランド、そして1963年にブルース・マクラーレンによって設立されたチームに対する支配力を強化することにつながる。ノリスとピアストリがマクラーレンの競争力を牽引するなか、チームはコース上での優位性と商業的魅力の高まりを活かして、F1エリートチームの中心としての地位を固める好位置につけている。

ザク・ブラウン(マクラーレン・レーシングCEO)
2025年F1第15戦オランダGP ザク・ブラウン(マクラーレン・レーシングCEO)


(Text : autosport web / Translation:AKARAG)

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