破損したハジャーの3位トロフィーを再製作へ「相応しいトロフィーを手にしてもらいたい」オランダGP主催者らがコメント
アイザック・ハジャー(レーシングブルズ)のF1初表彰台は、シャンパンや歴史的な偉業だけでなく、陶器がふたつに割れる紛れもない音によっても記憶に留められるだろう。
ザントフォールト・サーキットで開催されたF1第15戦オランダGPで、レーシングブルズの20歳のルーキードライバー、ハジャーは3位に入賞したが、飛躍の1日を忘れられないような失敗で終えた。チーム写真を撮るためにメカニックたちと並んでいる間、ハジャーは苦労して手に入れたトロフィーを慎重に地面に置いたが、目の前できれいにふたつに割れてしまったのだ。
信じられない思いと恐怖が入り混じり、大きく目を見開いたハジャーの表情は、すぐに喜劇のネタとなり、クルーたちは大笑いした。傷口に塩(あるいはシャンパン)をすり込むように、チームは若きスター選手にシャンパンのしぶきを浴びせかけ、ハジャーは恥ずかしそうにトロフィーの上半分だけを掲げた。
オランダの『ロイヤル・デルフト』社が製作したこのトロフィーは、手描きの陶器作品で美しいもので、繊細だ。レース主催者とトロフィー製作会社は、すぐに安心感を与える発言をした。オランダGPの広報担当者は、「トロフィーは高品質の陶器製であり、当社の熟練の画家によって手描きされている。陶器は美しい素材だが、壊れやすい素材でもある。予期せぬ振動や衝撃を受けると壊れてしまう可能性がある」と説明した。
またロイヤル・デルフト社は、ハジャーが何も手にしないでいることはないと述べた。
「オランダGPとともに、当然ながら我々は第3位の勝者に相応しいトロフィーを手にしてもらいたいと考えている。我々はハジャーのために新しいトロフィーを制作する。いつ納品できるかはまだわからないが、懸命に取り組んでいる」
壊れてしまったトロフィーはどうなるのだろうか? それはハジャーのものになるようで、「壊れたトロフィーはハジャーが所有する。これは彼にとって伝説的な瞬間の記念品でもある」と同社は明かした。
犠牲になった陶器は別として、ハジャーにとってこの日はまさに特別な1日だった。彼は20歳で、F1の表彰台に立った最年少のフランス人ドライバーとなり、このスポーツの歴史上では5番目に若いドライバーとなった。彼の3位入賞は、レーシングブルズにとって2021年以来となるトップ3フィニッシュであり、1985年にミナルディとして始まって以来、ファエンツァのチームの長い道のりのなかではわずか6度目のことだ。
こうしてハジャーは表彰台を獲得し、代わりのトロフィーを受け取ることになったが、壊れたトロフィーは、近年のF1史上最も壊れやすい銀器、というよりは陶器として、すでに不滅の存在となった。F1伝説におけるいつもの1日だ。