ハミルトンがスタート前の黄旗違反により次戦イタリアで5グリッド降格。接触のルクレールとラッセルはペナルティなし
フェラーリのルイス・ハミルトンは、F1オランダGP決勝前のレコノサンスラップで、ダブルイエローフラッグ下およびピットエントリーロードで十分な減速を行わなかったと判断され、次戦イタリアGPでの5グリッド降格ペナルティと、ペナルティポイント2が科された。
決勝スタート前の時点で、スチュワードは、ハミルトンのイエローフラッグ規則違反について、レース後に審議を行うと述べていた。
スチュワードは、ハミルトンへの裁定について次のように説明した。
「サーキットの特性により、レースディレクターはすべての参加者に対して、ピットレーン直前の最終コーナーにおいてダブルイエローフラッグが振られることを通知していた。これはグリッド上およびピットレーンにいる者の安全を確保するためだった」
「規則は、ダブルイエローフラッグのマーシャリングセクターを通過するすべてのドライバーに『著しく減速すること…』を要求している。我々はFIAシステム内の利用可能なテレメトリーを確認した。またチームに対して彼らのテレメトリーデータの提供も要請した。これらすべてに時間を要し、その結果としてこの決定が遅れた」
「さらに、F1競技規則第44.1条は、2周以上のレコノサンスラップを行うすべてのドライバーに対して、ピットエントリーロードを『大幅に減速して』走行することを要求している」
「データは、当該ドライバー(ハミルトン)がダブルイエローセクターに進入した際、同地点でのフリー走行時の速度よりも約20km/h低速であり、スロットル開度を10%から20%程度減少させ、ピットレーン進入時には70メートル早くスロットルを戻しブレーキをかけていたことを示していた」
「我々は、ダブルイエローセクターにおける速度20km/hの減速が『著しく』速度を落としたとは考えなかった。また、ドライバーがピットエントリーロードに進入した際の速度を『大幅に』減速したものとも考えなかった」
「この種の違反に対するペナルティガイドラインは、通常は次戦で10グリッド降格のペナルティを科すものである。しかしながら、当該ドライバーが速度を減速しようとし、かつ早めにブレーキを行った試みを考慮し、我々はこれを情状酌量の事情として考慮し、5グリッド降格のペナルティを科した」
ハミルトンは、オランダGP決勝を単独クラッシュで終えた。さらに、フェラーリドライバーとして初めて走るイタリアGPで、5グリッド降格ペナルティを受けることになった。
なお、ジョージ・ラッセル(メルセデス)とシャルル・ルクレール(フェラーリ)のバトルに関しては、審議の結果、ペナルティなしという決定が下された。
ルクレールがラッセルをオーバーテイクする際に、マシンの一部がコース外に出ていたため、コース外を使用したと判断されるかどうか、両車が接触したことによる責任を問うべきかどうかについて、スチュワードは調査。その結果、「両チームの代表は、16号車がコースを外れたという明確な証拠は存在しないという点で一致していた。両ドライバーは、これはレーシングインシデントであり、このインシデントに関していずれのドライバーに対してもさらなる結果があるべきではないと感じていた。我々はすべての利用可能な証拠を精査し、同じ結論に至った」として、ペナルティなしという結論を下した。
また、ガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー)が「重大かつ明白な損傷を有する車両を停止させなかった」疑いで審議対象になった。ボルトレートのマシンは、ランス・ストロール(アストンマーティン)との接触により損傷を受け、数周後にエンドプレートが外れて、コース上に落下した。構造部品(structural component)に重大かつ明白な損傷があり、それがドライバーや他者を直ちに危険にさらす状態となった場合、ドライバーはピットレーンに入らなければならないが、エンドプレートは構造部品ではないと、スチュワードは述べた。さらにスチュワードは、ウイングエレメントの脱落はレースの妨げになることも、他車を傷つけることもなかったとして、ボルトレートへのペナルティを科さないことを決めた。