補助金を受けず、自ら費用とリスクを負って開催を続けてきたオランダGP。残る開催はあと2回、F1側も理解を示す
今週末にザントフォールトで開催されるF1第15戦オランダGPは、この歴史あるサーキットがF1カレンダーに載る最後のときに近づいているため、特別な意味を持つものとなるだろう。オランダGPは2026年まで続くが、迫りくる別れがすでにイベントを取り巻く雰囲気を形作り始めている。
コースと設備のアップグレードに多額の投資を行った後、2021年にF1カレンダーに華々しく復帰したザントフォールトは、昨年、フォーミュラワン・マネジメント(FOM)との当時の契約を1年だけ延長することを決定した。スパ・フランコルシャンでのベルギーGPとのローテーション開催方式など、さまざまなシナリオが議論されたが、オランダの主催者は完全な終了を選択し、その決定はモータースポーツ界に複雑な感情を巻き起こした。
来たるグランプリは特別なものなのかと問われると、F1オランダGPのディレクターを務めるロバート・ヴァン・オーバーダイクはオランダのウェブサイト『RacingNews365』に対し、今週はまだいつも通りであると語った。
「まだそのようには思わない。もし来年同じことを聞かれたら、絶対にイエスと答えるだろう」
「最後のレースは、おそらく最初と形は違うものの、同じ感動を呼び起こすだろうと思う。もちろん、このイベントがオランダでとても大きなものであることは、我々全員が知っている。2026年の開催をもって終了すれば、F1はふたたび他の大陸に焦点を移すことになるだろう。来年は特別な年になるだろうと誰もが感じている。その後は何年もオランダには戻ってこないだろう。もしかすると二度とそんなことは起こらないかもしれない」
ザントフォールトをカレンダーから外す決定は、オランダGP主催者とF1の間で何カ月にもわたる交渉が行われた末に下されたもので、F1の首脳陣は落胆した。
「当初、これは我々にとっても誇らしいことだったのだが、彼らは我々がこの決断を下したことに失望を感じていた」
「しかし彼ら側にも、我々がなぜこの決定を下したのかということに理解があった。もちろん、彼らは誰よりもよくわかっている。我々のグランプリは、シルバーストンと並んで、1ユーロの補助金も受け取っていない唯一のグランプリだ」
財政的なプレッシャーがあるものの、F1のCEOであるステファノ・ドメニカリは、レースの運営方法に新たな基準を設定したとして、ザントフォールトを一貫して称賛している。
「彼らは残念に思っている。特にステファノ・ドメニカリはここ数年、我々がF1の世界に新たな基準を設定したと声高に語ってきたからだ。我々もそのことを誇りに思っている」とヴァン・オーバーダイクは語った。
「そして一方で、『サーキット・ザントフォールト』、『TIG Sports』、『SportVibes』の3つの小さな組織でやりくりしなければならないことも、彼は理解している。我々は自らの費用とリスクによって、この大規模イベントの責任を負うことになる」
「そうしたリスクはいつかは止まるので、彼らからの理解も大きい。我々は今でも素晴らしい協力関係を築いている。最後の2回のグランプリを非常に素晴らしいものにしなければならないことを、我々は双方とも認識している」
F1とそのオランダのファン層が、愛されたサーキットの喪失を嘆く一方で、ヴァン・オーバーダイクはサーキットの撤退という選択を堅持し、この重要な決断について何ら後悔はないと述べている。
「その思考プロセスと継続するか否かについての議論は、当然ながらその軌道を完了した」
「それは戦わずしてできたわけではなかったが、明白な選択だった。そして、その選択をした瞬間から、前を向いていくのだ」
オランダGPは残り2回となる。ザントフォールトは、思い出に残る別れを演出することに重点を置いている。F1への最後の貢献が、ザントフォールトで知られるようになった情熱とショーに匹敵するものとなるようにだ。しかし、エンジンの轟音と活気に満ちた観客の思い出は、チェッカーフラッグが最後に振り下ろされた後も長くあの砂丘に残るだろう。