首相が突如発表したF1ポルトガルGP復活計画。開催権料が高騰するなか本当に実現できるのか
ポルトガルのルイス・モンテネグロ首相は8月初旬、早ければ2027年にアルガルベ・インターナショナル・サーキットでグランプリを再開すべく政府がF1と交渉を進めていることを突然発表した。
この発表は義務化されているサマーブレイク中に行われたものだ。そのため、各チームは活動を停止しており、公式声明は何も出されていない。このストーリーは大きな注目を集めたが、F1が再開されて間もなくオランダに向かういま、この話をもう少し詳しく分析するときが来たようだ。
2027年のカレンダーには埋めるべき穴がいくつかあることは間違いない。オランダGPはプロモーターが契約更新を見送ったため世界選手権から外れ、バルセロナとオースティン(アメリカ)の契約も終了する。しかし、オースティンでのレースは大きな人気を博して成功を収めており、アメリカ国内で正式なレーストラックで開催される唯一のグランプリなので、同レースがカレンダーに残ることにほとんど疑問の余地はないだろう。
そうなると深刻な脅威にさらされているイベントはバルセロナGP(スペイン)だけのようだ。しかしカタルーニャの人々はレース開催を継続すると決意しており、地元の情報筋によると、F1が要求するものは何でも支払える白紙小切手がプロモーターに手渡されたという。
バルセロナとマドリードのライバル関係は、主要イベントをスペインの首都に奪われるという屈辱を避けるために、カタルーニャ州政府がレースを継続する決意を固めていることを意味する。つまり、F1を地域に維持することが現在の地方当局の最優先事項となっているため、バルセロナのカタロニア・サーキットは他の入札を上回ることができるだろう。
ポルトガルはバルセロナとの入札合戦に参加することはできないが、F1の最高経営責任者(CEO)であるステファノ・ドメニカリがカタルーニャの人々との交渉において同国首相の発言を交渉材料として利用している可能性は否定できない。
モンテネグロ首相の発言は、アルガルベ地方選挙が迫るなか、選挙で極右政党が多くの市町村選挙での勝利を狙う激しい競争を繰り広げている中で行われた。ポルトガルの政治アナリストは、彼の発言は典型的な選挙公約に過ぎないと考えている。というのも、ヨーロッパのレースの開催権料は現在年間5000万ユーロ(約85億8000万円)を超えており、苦境に立たされている小国には到底払える金額ではないからだ。
2026年のリザーブ・グランプリ開催地の地位を確保しているトルコは、バルセロナがカレンダーから外れた場合、F1開催地としてより可能性の高い都市となる。そのためポルトガルが2027年にカレンダーに復帰する可能性はかなり低いものと考えられる。