「成長維持のために、いかなる挑戦にもオープンな姿勢が必要」チーム側はスプリント増加案を歓迎【代表のコメント裏事情】
2025年F1第14戦ハンガリーGPの金曜日に開かれた国際自動車連盟(FIA)の会見では、スプリントを導入するグランプリ数に関する質疑応答が繰り広げられた。
ある記者が「F1のCEOを務めるステファノ・ドメニカリが今後、スプリント・フォーマットを導入するグランプリ数を増やす可能性を示唆していますが、新しい観客を増やすためとはいえ、F1がこれまで以上に変化していく必要はあると思いますか?」と質問した。
これはドメニカリが、今後スプリント・フォーマットを増加させることについて、チーム、ドライバー、FIAと協議の準備に入ろうとしているのではないかという報道を受けての質問だった。
現在、ふたつのチャンピオンシップを独走しているマクラーレンのアンドレア・ステラ代表は、次のようにF1とそのCEOであるドメニカリの仕事ぶりを評価した。
「まず、ステファノとF1の経営陣の取り組みに対する称賛の言葉を贈りたい。彼らはこのビジネスの成長を牽引し、それによって私たち全員が恩恵を受けているからだ。私たちは、F1というビジネス全体が現在進めているこの旅を継続する責任がある。この責任の一環として、成長を維持するために必要であれば、いかなるチャレンジにもオープンな姿勢が必要だ」
スプリントを推進するドメニカリを称賛しているのは、ステラだけではない。会見に同席していたレーシングブルズのアラン・パーメイン代表が「私はステファノを信頼している。スプリントはファンにとって楽しいイベントだと思うので、もう少し増やしても問題ない」と言えば、ピレリのマリオ・イゾラ(ヘッド・オブ・カーレーシング)も次のように同調した。
「いかなるときでも変更を加えることに対して否定的な意見があるのは承知しているが、時代に遅れたくないのであれば、未来を予測し、先手を打つ必要がある。現在のF1はすでに素晴らしいプラットフォームだが、新しいものを創造するために何か新しいことに取り組む姿勢を忘れてはならない」
なぜ、彼らはスプリント開催を支持するのか。それはスプリントを開催するにあたって、F1はグランプリのプロモーターからスプリントレース開催権料として、通常開催にプラスする形で追加の開催権料を得ているからだ。その額は500万ドル(約7億3500万円)とも言われている。今年のスプリント開催は6回だから、3000万ドル(約44億円)の増収となる。増収分はチームの分配金に還元されるので、チームから批判の声が聞かれないのは当然なのである。
チームからは称賛されているが、追加の開催権料を支払う側のプロモーターたちは必ずしも全員が賛同しているわけではない。今年スプリントを開催しているいくつのプロモーターは追加の開催権料を支払ってまでスプリントを開催することに消極的で、2026年のスプリントのスケジュールはいまだ決定していない状況となっている。
そのため、F1はいまスプリントを開催するだけでなく、通常のフォーマットにもメスを入れようとしている。それが現在3回実施しているフリー走行を削減するというアイディアだ。
「新しいファン層が増加しているのに伴い、フリー走行のアプローチやレースウィークエンド全体の運営方法を見直す必要が生じる可能性も、我々は考えておかなければならないだろう」
会見でステラがそう語っているということは、すでにF1とチーム側はスプリント開催だけでなく、週末のフォーマットの変更についても話し合いが行われていると考えてよさそうだ。