愛未夫人が明かす坪井翔F1テストまでの道のり「あなたなら世界を目指せるよ!」休んでいる姿を見なかった数カ月
8月6〜7日に富士スピードウェイで行われたハースF1チームの旧型マシンを使ったテスト走行『TPC』。2日目には、昨年のスーパーGT・GT500とスーパーフォーミュラでダブルタイトルを獲得した坪井翔が初のF1ドライブに臨んだ。
その様子をそばで見守っていたのが、自身もKYOJO CUP等に出場するレーシングドライバーである夫人の斎藤愛未。TPC参加が決まってからの怒涛の準備期間や、当日の様子や準備段階での裏話を聞いた。
2日目の午前セッションはハースのピット内で見学していた斎藤。なぜか、自分が乗るわけではないのに緊張度はMAXに達していたという。
「最初(コースに)出ていくまでは、本人以上にいろいろな想いがあったというか……本人は『楽しみ』という気持ちが多かったと思いますけど、私はけっこう『スピンしちゃうんじゃないか?』とか、初歩的な心配をしていました」
「自分が乗るわけでもないし、自分ではどうしようもできないことですし、本人がどういう気持ちかも分からないので、無駄に勘繰ってひとりで勝手に緊張していたという感じです(苦笑)」
最初のピットアウト時には、クラッチの操作が思うようにいかずアンチストールシステムが介入する場面もあり、斎藤も「余計に不安になったりしました」とのことだったが、いざ走り出すと感慨深い思いが込み上げてきたとのこと。
「最初出ていく時や乗り込むときは、すごく感動もしましたし、今までのことというか……たくさんの想いを共有してきました。F1ドライバーという今までは私たちにとってすごく遠いものだったものが、あの日は初めて近くに感じられて……主人が乗りましたけど、私も自分の夢を一緒に叶えてもらったような気持ちになって、最初はちょっと涙が溢れちゃいましたね」
斎藤にとっては不安と感動と緊張が入り乱れた1日で、午前のセッションでも本格的な走行に移る場面で雨がパラついた時も「せっかくいただいた1日なのに『なんで、このタイミングで?』」と不安で涙目になっていたのだとか。
「順調に周回しているのを見たら『あ、大丈夫なんだな』というのが分かって、あとは安心して見られました。でも、最後のロングランメニューが終わるまでは気が抜けなかったので、自分が乗ったわけじゃないけど、気持ち的には疲れていましたね(苦笑)」と斎藤。
自身もレーシングドライバーだからこそ、「初めて扱うタイヤとクルマで、そこに雨が降ってきたら酷なシチューションになるなと。その中でもチームはプッシュすることも求めますし、ちゃんと無事に帰って来られるのだろうかという客観的な不安はありました」と、同じドライバーだからこそ心配になってしまうところが少なくなかった様子だ。
昨年、国内二冠を達成してから、どことなく坪井のF1ドライブを期待する声が聞こえ始めてきてはいたが、当の本人はそこまで強く意識していなかった模様。坪井家では年末になると翌年の目標について話し合う時間があるそうで、一昨年(2023年末)は「スーパーフォーミュラでチャンピオンを獲りたい」という話が出たそうだが、気になるF1については話題に上がったのだろうか。