最大の課題は「コミュニケーション」またも起こった意思疎通の齟齬。レース中の角田の積極性に変化も/F1 Topic
2025年F1第13戦ベルギーGPに続いて、第14戦ハンガリーGPのレースでも角田裕毅(レッドブル)とレースエンジニアのリチャード・ウッドとの間で、コミュニケーションがうまく噛み合わないシーンが見られた。
たとえば、1回目のピットインのタイミングがそうだった。パワーユニットのエレメントを交換してピットレーンからスタートした角田。ハンガロリンクは抜きどころがないため、ピットストップを利用して順位を上げるしかない。そのため、余っている新品のソフトタイヤを利用し、前を走るマシンをアンダーカットして前に出る作戦で、前を走るドライバーより早めにピットインするのが鉄則だった。
スタート後、5周目から12周目まで角田の前を走行していたのはフランコ・コラピント(アルヒ?ーヌ)。しかし、先に動いたのはコラピントのほうだった。13周目にコラピントがピットインした後、角田がピットインしたのは7周後の20周目。ピットアウトすると角田は最下位まで落ちてしまった。
角田はこう振り返る。
「1回目のピットインのタイミングは少し理解に苦しみました。こういうコミュニケーション不足というか、誤解というのは、もしもっと上のポジションでレースをしていたら、取り返しのつかないミスになってしまうので、ちょっとこれは真剣に話し合わなければならないと思います」
そこから、無線でのふたりの会話は少し様子が変わった。これまでよりも、角田が積極的に自分の意見を言って、少しイニシアチブをとっていたように見えた。
「1回目のピットインのタイミングがよくなくて、かなりタイムを失い、フラストレーションもたまっていたので、それからは自分で考えるようにしました」(角田)
しかし、このとき角田のフロントウイングはダメージを受けていたため、ペースが上がらず、コラピントを攻略したにとどまり、18位でチェッカーフラッグを受けた。
レース後、国際自動車連盟(FIA)の車検室から出てきた角田は、ミックスゾーンへ行く前に、マネージャーのディエゴ・メンチャカを呼んで、ミックスゾーンの裏で緊急会議を始めた。その話し合いにはベルギーGPから角田を担当しているレッドブルの広報も加わっていた。しかも、その話し合いは二言三言というレベルではなく、かなり長い間、立ち止まって行われていた。
その後、角田はミックスゾーンへ移動し、各国のテレビ局のインタビューを受けてから、ジャーナリストの取材に応じていた。
その取材を終えて、レッドブルのモーターホームへ移動すると、そこに角田のレースエンジニアを務めるウッドがいた。振り返ると、角田がローラン・メキース代表とともにモーターホームにやってきて、ウッドとともに3人でモーターホームの奥に消えていった。
後半戦に向けて、最大の課題は何かを角田に尋ねると、こう答えた。
「エンジニア陣とのコミュニケーションです。あまり息が合っていないので、それが最大の課題です」