2025.08.03

「容易に防げたはず」のミスでセットアップ変更後の挙動を確認できず予選に影響。ミス増加を懸念【角田裕毅F1第14戦展望】


2025年F1第14戦ハンガリーGP 角田裕毅(レッドブル)
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 2025年F1第14戦ハンガリーGPの土曜日、ハンガロリンクでローラン・メキース代表は来年もレッドブルに残留することを明言したマックス・フェルスタッペンのチームメイトに誰が相応しいかという質問に、こう答えた。

「優先事項は、ユウキがここでしっかりとパフォーマンスを発揮するために必要なものを提供することだ。スパでは非常にいいパフォーマンスを披露した。そのために、チームのすべてのメンバーが努力している」

【角田裕毅F1第14戦展望】
2025年F1第14戦ハンガリーGP 角田裕毅(レッドブル)

 しかし、フリー走行3回目で、またもレースエンジニアとの間でコミュニケーションミスが発生した。

 ミディアムタイヤを履いて、金曜日の夜に行ったセットアップ変更の確認に30分以上の時間を費やした角田は、ガレージに戻ると新品のソフトタイヤに履き替えてガレージを出た。アウトラップを終えてタイムアタックに入った角田だったが、1コーナーのブレーキングで止まりきれずにオーバーランしてしまう。すぐにアタックをやめた角田は無線でステアリング上にあるトグル・ダイヤルの設定をレースエンジニアに確認する。

 トグル・ダイヤルとは、ひとつのダイヤルにデファレンシャルギヤやブレーキバランス、さらにエンジンブレーキなどの設定がミックスされていて、主にフリー走行でショートランとロングランを繰り返すときにワンタッチで切り替えるよう組み込まれている。

【角田裕毅F1第14戦展望】
2025年F1第14戦ハンガリーGP 角田裕毅(レッドブル)

 角田が「なんかフィーリングが全然違うんだけど、トグル設定は◯◯でいいんだよね」と確認すると、レースエンジニアが「さらにプラス2だ」と返信する。角田が「それってロングランのモードじゃないの?」と聞き返すと、レースエンジニアは「リセットしたんだ」と回答。

 そのひと言を聞いた角田は怒りを爆発させた。

「そんなことはセッションの前に言っておいてよ、マジで。寝ぼけてんじゃないよ!!」

 このコミュニケーションミスによって、角田は新品タイヤでのショーランのアタックを行う機会を失い、その状態で変更したセットアップがどのような挙動になるのかを探ることができないまま、セッションを終えることとなった。フリー走行3回目のチェッカーフラッグを受けた角田は、無線でこう言った。

「なんていうセッションだ」

 トグルに設定ミスについて、角田はこう振り返る。

「こちらのガレージの問題です。容易に防ぐことができたはずのことを防ぐことができなかっただけ。いつも通りやるべきことをやれなかったんです。それは自分がコントロールできることじゃなくて、チームがコントロールすべきことだったので、それに関してはとてもフラストレーションが残ります」

 トグルの設定ミスは時々起こるものだが、レッドブルに移籍してから、特に多くなった印象がある。角田もそれを認める。

「レッドブルに来てから、少し増えたように思うので、そこは改善してほしいです。今回はFP3(フリー走行3回目)で大きくセットアップを変えていたので、(アタックができずに)確認できなかったことはすごく残念でした。予選ではそういう細かいことが影響してくるので、そこは話し合わなければならないと思います」

【角田裕毅F1第14戦展望】
2025年F1第14戦ハンガリーGP セッション終了後、取材に応じる角田裕毅(レッドブル)

 予選後、メキースは角田がQ1でフェルスタッペンに迫るタイムをマークした走りを評価していたと同様、フリー走行3回目で起きたコミュニケーションミスを「また起きてしまった」と残念がっていた。

 角田を0.163秒上回ったフェルスタッペンはその後、Q2も突破して、予選8番手を獲得。フリー走行3回目でしっかりとアタックできていれば、フェルスタッペンとの差はもう少し詰められただろう。それだけに、再び起きたコミュニケーションミスの代償は大きかったと言わざるを得ない。



(Text : Masahiro Owari)

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