パフォーマンス向上は「いい兆候」アンダーステアに悩み、セットアップとフラップ調整でグリップを改善【角田裕毅F1第14戦展望】
レッドブルに移籍して、12戦目にして、初めて角田裕毅(レッドブル)がチームメイトのマックス・フェルスタッペンを公式セッションのリザルトで上回った。
フリー走行1回目で「バランスが滅茶苦茶だ」という状態で、17番手に沈んだ角田。特に苦しんだのがアンダーステアだった。「コーナーのエイペックスか? それとも出口か?」とレースエンジニアから尋ねられた角田は「コーナーのすべてだ」と答えた。低速コーナーを苦手としているRB21。曲がりくねったハンガロリンクでアンダーステアが出れば、当然ながら速く走ることはできない。
そこで角田とエンジニアはフリー走行2回目に向けて、セットアップを調整する。さらにフリー走行2回目のセッション中にもフロントウイングのフラップの角度を細かく調整していた。この変更によって、パフォーマンスが改善された。
「今日行われたふたつのセッションで、僕たちはいくつかのポジティブな点を見つけることができました。FP1(フリー走行1回目)からFP2にかけてパフォーマンスが向上したのは、残りの週末に向けていい兆候です」
角田とエンジニアが調整したのは、バランスを改善することではなく、グリップ力を上げるためのセットアップ変更だったと思われる。なぜなら、角田は「バランスが滅茶苦茶だ」と言っていたものの、レースエンジニアの問いかけに対して、「コーナーのすべてでアンダーステアがひどかった」と言っていた。そこで角田を担当するパフォーマンスエンジニアはフロントのグリップを上げるアイデアをレースエンジニアに提案したのではないかと考えられる。
フリー走行2回目を終えて、角田は1日をこう振り返る。
「どうやら、直面した問題はバランスではなく、グリップの問題だったようです。グリップ力がフリー走行1回目は少し不足していました。僕の方は、2回目に向けていくらか改善しましたが、それでも通常の望ましいレベルには達しておらず、チームとして苦しい1日となりました。予選とレースに向けて、何が欠けているのか特定する必要があります」
初めてフェルスタッペンを上回った角田。しかし、そのフェルスタッペンはこの日、マシンになんらかの問題を抱えていた可能性が高い。それはフェルスタッペンが通常いるべきトップ10以内ではなく、14番手に沈んでいることでもわかる。
とはいえ、初日9番手は角田にとって決して悪くない滑り出し。いま角田にとって大切なことは、フェルスタッペンを倒すことではなく、エンジニアたちとデータをしっかりと見直して、自分のマシンの課題に向き合うこと。それができれば、自然と結果は着いてくるだろう。