パフォーマンス低下に悩むメルセデスが緊急会議。ハンガリーで旧型サスペンションに戻すという結論に
メルセデスは、F1ハンガリーGPで、ジョージ・ラッセルとアンドレア・キミ・アントネッリが今週末にドライブするW16に重要な変更を加えることを決めた。イモラで投入され、カナダGP以降も使用されてきたリヤサスペンションを外し、前の仕様に戻すことにしたのだ。
ベルギーGP決勝を5位と16位で終えた後、トト・ウォルフ代表は明らかに動揺し、メディア対応をキャンセルして帰国し、緊急会議の準備に入った。月曜日、ブラックリーのファクトリーで会議が行われ、ドライバーを含む主要チームメンバー全員が参加。直近3戦において両ドライバーがオーバーステアを訴えてきたが、この会議の場で、データ上でもそれが確認できたことが明かされた。
カナダGPでラッセルが優勝し、アントネッリが3位に入った後、メルセデスの相対的な競争力は低下しており、現時点では速さは全体の4番手で、トップのマクラーレンとの差はますます広がりつつある。
会議の結果、メルセデスは、今週末のハンガリーGPにおいて以前のリヤサスペンション仕様に戻すという決断を下した。この変更によりデータの比較を行い、シーズン残り10戦で使用すべきリヤサスペンション仕様を選択するものとみられる。
メルセデスを誤った方向に導いたのは、カナダGPでマシンが優れたパフォーマンスを見せたことだった。カナダでラッセルはポール・トゥ・ウインを果たし、アントネッリは自身にとって初のF1表彰台を獲得した。このモントリオールでの成功が、チームに新しいサスペンション仕様が前進であるという確信を与えたが、今ではそのパフォーマンスはサーキットの特性によるものであったと認めている。
アントネッリは、それについて次のように説明した。
「モントリオールはとても特殊なサーキットで、グリップがかなり高い。結局のところ、モントリオールでは直線でのブレーキングがすべてだ。そしてシケインでは、最初の部分でマシンを良い位置につけて、その後、後半に向けてしっかり加速する必要がある」
「新しいサスペンションは直線でのブレーキングにとても優れており、良好なトラクションフェーズを得られた」
「それがモントリオールにとって最適であり、僕たちが強力だった理由だ。それが主な要因だった。モントリオールはとても特殊なサーキットなんだ。高速で走る複合コーナーがほとんどなかったことが、僕たちのサスペンションにとって有利に働いた」
チームが旧型サスペンションに戻した理由について、ラッセルは詳細な説明を避けつつ、「新しいものの方が遅かったからだ」と述べた。
「今週末を評価のために使うつもりだ。でも結果全体を見れば、僕たちは明らかに後退している。だから、それまでの基準に戻る必要がある」。
ラッセルは、苦戦するアントネッリを弁護し、「若いドライバーは、自分のパフォーマンスを客観的に見るべきだ。ラップタイムの差を見れば、シーズン初めよりも良いパフォーマンスを見せていると言えるだろう」と語った。
「カナダでは僕たちがポールだった時、彼は4番手で、0.5秒の差があった。スパでは彼は僕とは0.3秒差だったけれど、それがQ1敗退とQ3進出の違いとなった」
「チームは彼に対して、その結果を気にする必要はないと明確に伝えている。経験が浅いことを考えれば、彼はとても良い仕事をしている。マシンが僕たちふたりを後退させた。自分が当事者だと、それを認めるのは難しい。マシンが期待どおりに機能していないときは、物事は簡単ではないんだ」