スパで明暗分かれた新人。アントネッリはマシンへの自信を失うも、着実に僚友との差を縮める【ルーキー・フォーカス】
過去4戦未満しかレースに出走したことがなく、今年初めてフルシーズンを戦っているルーキー4人のなかで、F1第13戦ベルギーGPで最上位の成績を挙げたのはガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー)だった。
日曜日のレースで10番手からスタートしたボルトレートは、上位陣と同様12周目にピットイン。1周前にピットインしていたチームメイトのニコ・ヒュルケンベルグに先行を許すが、1周タイミングが遅れた角田裕毅(レッドブル)の前に出て、10番手をキープすることに成功した。
その後、タイヤマネージメントに苦しむヒュルケンベルグをかわして9番手に上がると、レース終盤にはリアム・ローソン(レーシングブルズ)の背後に迫ったが、逆転には至らず、9位でチェッカーフラッグを受けた。
オーストリアGPで記録した自己ベスト(8位)には一歩届かなかったが、オーストリアGP以降の3戦で、ルーキーのなかで唯一2度入賞し、最多となる6点を加点したボルトレートは、こう語る。
「オーストリアの8位よりもいい結果を残したかったけど、スパでこういうコンディションだと、何が起こるかわからないから、正直、今日の9位は望みうる最高の結果だったと思う」
対照的に、ルーキーのなかで不振にあえいだのがメルセデスのアンドレア・キミ・アントネッリだった。予選では開幕戦以来となるQ1敗退となっただけでなく、18番手はF1デビュー以来、最も低い順位となった。
金曜日のスプリント予選でもSQ1で敗退。表彰台を獲得したカナダGP以降のヨーロッパラウンド3戦は無得点が続いており、明らかにパフォーマンスは下降線をたどっており、本人も次のように認めている。
「ヨーロッパラウンドに入ってから、クルマに対する自信を失っている。予選では無理に攻めすぎてスピンしてしまった」
予選Q1敗退に終わったアントネッリだが、Q1で10番手だったチームメイトのジョージ・ラッセルとのタイム差はわずか0.355秒だった。アントネッリが表彰台に立ったカナダGPの予選ではその差は0.6秒以上あったから、じつはアントネッリのパフォーマンスが落ちたとは言い切れない部分がある。
そのラッセルもレースではマックス・フェルスタッペン(レッドブル)から13秒以上遅れの5位に終わっていることを考えると、メルセデスのアップデートに問題があるのかもしれない。考えられる可能性としては、フレキシブルウイングを巡って、国際自動車連盟(FIA)が出した新しい技術指令への対応だ。もし、この予想が間違っていなければ、アントネッリはハンガリーGPでも苦しい戦いを強いられるだろう。