衝撃的なスピンを喫したハミルトン、新型ブレーキへの適応が大きな改善の一歩につながるか
F1第13戦ベルギーGPでのハミルトンの2度にわたる予選Q1敗退は、困難なシーズンを送ってきた彼にとって最悪の出来事だったが、その理由はそれぞれ異なっていた。
土曜予選のQ1では、ハミルトンは2回目の走行で7番目のタイムを記録し、チームメイトのシャルル・ルクレールに僅差で続いた。しかし、ラディオンでトラックリミットをほんのわずか超えていたため、そのラップは抹消された。
しかし、金曜日のスプリント予選でのSQ1敗退はもっと衝撃的なものだった。バスストップ・シケインへのブレーキング中にSF-25の後輪がロックし、ハミルトンはスピンに陥ったのだ。これが最後のアタックでの非常に速かったラップを台無しにした。
困惑したハミルトンは、後輪のロックによるこのスピンについて、「キャリアで初めてのこと」と述べたものの、それが起きた原因については詳しく語らなかった。
そのスピンの原因は、フェラーリ製パワーユニット(PU)の極めて強力なエンジンブレーキ・モードと、ブレンボが開発した新型のリヤブレーキマテリアルの組み合わせにあったとみられる。ハミルトンはその挙動に不意を突かれ、スピンを喫した。
ハミルトンは、スパで初めて新しいブレーキシステムを試した。レース後、具体的にブレーキについて言及しなかったものの、彼は次のような発言を行った。
「僕たちが持ち込んだアップグレードには、基本的にふたつの要素がある。そのうちのひとつは、モントリオールでテストをする予定だったが、僕は結局それを試さなかった。シャルルがテストを行い、その後、僕はその一部を数戦にわたって使用した」
「今日、シャルルは素晴らしい走りを見せた。彼は順応してきているようだ。僕にとっては今回が初めての使用であり、予選でのあのスピンは、適切なセッティングがなされていなかったために起きた」
ベルギーGP決勝の最初の8周でハミルトンが非常にアグレッシブに走り、順位を大きく上げ、ライバルたちをブレーキングで抜き去ったことを考えると、スパ・フランコルシャンで初めて使用したという新しいブレーキマテリアルに、彼が急速に慣れてきていると考えるのが妥当だろう。ハミルトンは、ほとんどのドライバーよりもはるかに強い圧力をブレーキペダルにかけて、極端に遅いブレーキングをすることができるという武器を持っており、その武器を使えるだけの自信を取り戻していたようにみえる。
キャリアを通じてカーボン・インダストリー製ブレーキを使用してきたハミルトンは、フェラーリに移籍してブレンボ製を用いるようになった。ハミルトンがフェラーリのマシン全体への適応に取り組んでいるなかで、苦戦していた要素のひとつがブレーキだった。