角田裕毅「アップグレードをもらったことが収穫」エンジニアとの会話は明かさず。気になる言葉も/独占インタビュー
2025年F1第13戦ベルギーGPのレース直後、ミックスゾーンでの角田裕毅(レッドブル)の取材は、各国のテレビ局と海外のジャーナリスト向けのインタビューは行われたが、日本人ジャーナリスト向けの会見はキャンセルされた。理由はF1 Topic(編注:インタビューを中止し、ガレージ裏で角田と担当エンジニアが話し合い。落胆する様子を隠さず/F1 Topic)でも書いたように、角田がレースエンジニアのリチャード・ウッドから呼び出されていたからだ。
そのふたりだけの話し合いの後、モーターホームへ帰る角田を追うが、広報が日本人向けに会見を開く様子はないまま、モーターホームへ到着。角田は自室へと消えていった。筆者はメディアセンターへ戻ろうとしたが、直後にレッドブルのローラン・メキース代表の会見がモーターホームで開かれるということで、その場にとどまった。
メキース代表の会見が終了したので、再びメディアセンターへ帰ろうとモーターホームを出たところで、少しだけ立ち止まっていた。しばらくすると、ピンク色の私服に着替え、スーツケースを手にした角田が自室から出てきた。モーターホームにはメキースが残っていた。角田を見つけると、ピットストップのミスを謝罪し、角田の肩を叩き、腕を掴んで、励ましていた。
角田も黙ってメキースの話を聞いた後、最後にサムアップして別れた。
モーターホームから出てきた角田に「駐車場まで歩きながらでいいから話ができるか?」と尋ねると「いいですよ」と取材に応じてくれた。ここから先は、筆者だけの独占インタビューだ。
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──レース後、ガレージの裏でレースエンジニアのリチャード・ウッドと話し合いをしていましたね。いま心の整理はついていますか?
角田裕毅(以下、角田):「整理も何も、あれが原因だったので、まあ、悔しいです」
──ローラン・メキース代表もチームのミスを認めているように、チームは自分たちがミスをしたことをわかっているんですよね?
角田:「わかっているというか、どうなんですかね。わかっていると思いますし、僕も何かすることがあったのかわからないですけど、自分が改善できることに集中していきたいと思います」
──ミスがなければ、ポイントは確実でしたね。
角田:「はい」
──今回のミスはショックが大きい?
角田:「そうですね」
──ミスが起きるまではいい走りができていたことが今回の収穫ですね。
角田:「そうですね。アップグレードをもらったことが収穫です」
──元気を出して。次、期待しています。
角田:「はい」
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モーターホームからパドックの出口までの約1分間。途中、ファンからのサインにも応じるなど、トップチームのドライバーとして、責任ある行動をしていた角田。気になるのは、「わかっているというか、どうなんですかね」という部分だ。ウッドとの会話の内容を角田は明かさなかったが、明確な謝罪があれば、角田はそんなことは言わないはずだ。
今回のベルギーGPでは第11戦オーストリアGPに続いて、かつてダニエル・リカルドらのレースエンジニアを務めたサイモン・レニーが、ジャンピエロ・ランビアーゼの代役としてマックス・フェルスタッペンのレースエンジニアを務めていた。2週連続開催となるハンガリーGPは無理だとしても、夏休み明けのオランダGPからは、角田のエンジニアリング体制を見直したほうが、角田だけでなく、ウッドにとってもいいのではないだろうか。メキースの判断に注目したい。